2023 年 43 巻 p. 877-888
目的:看護師の研究活用の障壁と教育的支援によって変化可能な影響要因を明らかにする.
方法:A大学病院の看護師とA県内医療・福祉機関に所属もしくはA大学院修了の専門看護師計860名を対象に質問票調査を行った.研究活用の障壁を従属変数,看護研究への態度,臨床実践力,看護研究に関する経験を独立変数とする重回帰分析を行った.
結果:295名を分析対象とした.障壁が高かった因子は「研究活用の組織的支援」であった.重回帰分析の結果,全変数を投入したモデル1と教育的支援によって変化可能な変数を投入したモデル2では,回帰式の適合度にほぼ差がなかった.肯定的な看護研究への態度,専門性の高い看護実践,看護研究の指導経験がある看護師は障壁が少なかった.
結論:研究活用の障壁は,基本属性を除く教育的支援によって変化可能な変数で説明可能であった.影響要因として,看護研究の態度,臨床実践力,看護研究の指導経験が示された.