2024 年 44 巻 p. 807-817
目的:非アルコール性脂肪性肝疾患(以下,NAFLD)患者のヘルスリテラシー(以下,HL),セルフケア,セルフケア能力に関する実態を調査した.
方法:自立し受診している30歳~65歳未満のNAFLD患者に無記名自記式質問紙調査を行った.HL,セルフケア能力と基本属性・特性についてt検定,一元配置分散分析,さらに,HL,セルフケア,セルフケア能力の相関を明らかにした.
結果:分析対象者204名,有効回答率16.2%であった.HLは,就業,学歴,BMI,食事・運動指導を受けた経験の有無に,セルフケア能力は,性別,就業,学歴,食事・運動指導を受けた経験の有無による差がみられた.HLはセルフケア,セルフケア能力との間に弱い相関がみられた.
結論:NAFLD患者へのセルフケア継続には,患者の属性・特性を捉え,セルフケアについて具体的な方法の提案が,効果的な支援になることが示唆された.
Aim: This study investigated the actual situation of the lives of patients with non-alcoholic fatty liver disease, including their health literacy, self-care, and self-care abilities.
Methods: An anonymous self-administered questionnaire was distributed to independent and socially active patients aged 30–65 years with non-alcoholic fatty liver disease during their medical visits. T-tests and one-way analysis of variance were conducted to explore the differences in health literacy and self-care ability based on basic attributes and characteristics. Furthermore, correlations between health literacy, self-care, self-care ability, as well as between self-care and self-care ability, were identified.
Results: This study included 204 participants, with a valid response rate of 16.2%. Health literacy among patients with non-alcoholic fatty liver disease differed according to employment, educational status, body mass index, prior diet, and exercise training. Self-care ability differed according to sex, employment status, educational status, prior diet, and exercise training. Health literacy was weakly correlated with self-care and self-care ability.
Conclusions: Capturing the attributes and characteristics of patients with non-alcoholic fatty liver disease and suggesting specific self-care methods could effectively support the continuation of self-care for patients with non-alcoholic fatty liver disease.
非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease;以下,NAFLD)は,主にメタボリックシンドロームに関連する諸因子とともに,組織診断あるいは画像診断で脂肪肝を認めた病態であり,アルコール性肝障害など他の肝疾患を除外したものである(日本消化器病学会・日本肝臓学会,2020).NAFLDは,肥満を起因とする疾患であり,インスリン抵抗性と関係し,動脈硬化を促進するリスク因子が重複していることから,早期の改善が望まれる(今城ら,2016).NAFLDは,治療の必要性がない病状からがんに進行するリスクが高まる非アルコール性脂肪肝炎まで,幅が広い.病状の進行には個人差があるが,生活習慣の改善を図らなければ,生活習慣病の悪化や脳血管疾患・心疾患といった疾病を合併する可能性がある.
NAFLD患者の増加は,全世界規模で大きな公衆衛生上の問題になっており(建石・小池,2020),わが国においても世界と同様に約4人に1人がNAFLDに罹患し(Nishioji et al., 2015),NAFLDの罹患者数は増加の一途をたどっている(米田ら,2021).NAFLDは,今後も罹患者数が増加すると考えられ,医療従事者は疾患の重要性を理解し,適切な医療介入が重要となる.
NAFLDの治療の原則は,食事療法・運動療法といったセルフケアによって,内臓脂肪を減少させることである.肥満治療薬が2023年に公的医療保険の適用対象となっているが,これらの治療薬は,使用に対し必要条件があり,NAFLD患者が治療の対象になるとは限らない.投薬を継続しなければリバウンドする可能性があることや,薬への依存性が懸念される.NAFLDの治療目標は,5~7%の体重減少である(日本消化器病学会・日本肝臓学会,2020)が,自覚症状のないNAFLD患者が,食事療法・運動療法のプログラムを完遂することは難しく(江口ら,2011),減量に成功してもリバウンドを起こすことが多々ある(中尾・米田,2010)ことが先行研究で明らかにされている.現在,NAFLDは保険適応になる直接的な治療薬はない.NAFLD事態が生命を脅かす疾患ではないが,患者が生活習慣を見直し,健康に向かうためのセルフケアの継続を支援する必要性がある.
NAFLD患者のセルフケア支援の困難点の一つに,「非アルコール性」の表現では,消化器疾患を専門としない医療従事者や患者は,NAFLDという疾患について分かりづらく,生活習慣の改善に対する意識の低さにつながりやすい(川口・鳥村,2021).NAFLD患者のセルフケア支援は,疾患の認識やNAFLD患者の生活習慣の改善に向けた意識の向上を図り,セルフケア支援の要点を明確に,健康教育の内容を可視化することに有用性がある.
NAFLD患者が,セルフケアを継続するには自身の身体に関心をもち,健康に向けた生活の改善をはかるための能力が重要となる.患者によってセルフケアに関する能力の向上や活用へのきっかけは様々であるが,疾患や健康管理の情報を入手し,それを理解,評価し,活用する能力であるヘルスリテラシー(health literacy,以下HL)を,健康教育の中に取り入れることが有効である(福田・江口,2016;中山,2021).先行研究において,2型糖尿病患者にHL向上プログラムを行うことの効果(Mathaka et al., 2023)や,慢性腎臓病患者のHLが自己管理行動に直接的な影響を与える(Photharos et al., 2018;Shah et al., 2021)ことが述べられ,個々人のセルフケアの質を決定する重要な要因にHLがある(徳田・町,2012).HLのなかでも健康や医療に関する情報を自身で探し,理解し,周囲のサポートが得られる環境において自身の健康管理に適用しようとする力である伝達的HLと,得られた情報を鵜呑みにせず,批判的に吟味し,主体的に活用する能力である批判的HLは,NAFLD患者がセルフケアを行う上で必要な能力である.
これらの慢性疾患へのセルフケア支援に有効であるHLに着目し,NAFLD患者に働きかけることは,セルフケアの実施や継続に効果があると推測する.
そこで,本研究は,NAFLD患者のHL,セルフケア,セルフケア能力に関する実態を調査することを目的とする.
NAFLD患者の実態を明らかにすることは,NAFLD患者に食事療法・運動療法といったセルフケア支援を検討する一助になり意義がある.
無記名自記式質問紙による横断調査である.
2. 用語の定義NAFLD患者:一般的にNAFLDは肥満を起因とする疾患とされている.欧米では肥満者においてNAFLDの有病率が高値である.しかし,日本人は,栄養過多となった場合に皮下脂肪は増加しにくく,軽度の肥満でも内臓脂肪蓄積や脂肪肝という異所性脂肪蓄積が起こりやすい(新,2017).日本における脂肪肝患者の約25%は非肥満者である(Ito et al., 2021).そのため,本研究では,NAFLDであり,適正体重Body Mass Index(以下,BMI)22を超える者をNAFLD患者とする.
ヘルスリテラシー(health literacy以下,HL):情報を入手し,内容を理解,評価,活用できる能力とする.
セルフケア:本庄ら(2015)は,セルフケアについて,自分の健康に関心を向け,医療者を含めたさまざまな資源を活用しながら,主体的に自身の健康管理を行うことと述べている.本研究では,NAFLD患者が,健康上の問題を解決するため,主体的に自身の健康管理を実践することおよび実践に至る様々な資源の活用とする.
セルフケア能力:清水ら(2005)は,セルフケア能力を,セルフケアとして個人が自分自身および環境を調整する意図的な行動を遂行する能力と述べている.本研究では,NAFLD患者が,健康のために必要な資源を選び,それを確保し,生活の中にセルフケアを取り入れ継続していく能力とする.
3. 研究対象者研究対象者は,自立して社会生活を行い受診行動している,年齢30歳~65歳未満のNAFLD患者である.質問紙に答えることが負担となるような精神疾患を有する者は除外した.
4. 調査方法無記名自記式質問紙調査である.
調査期間は,2021年5月~2021年10月である.
調査依頼方法は,研究者が質問紙の説明に訪問可能な地域にある肝臓病外来,消化器内科,内科のある医療機関をインターネットで検索し,NAFLD患者の診療を行っている記載のある医療機関を選定した.選定した医療機関の責任者に研究協力の依頼文書を送付した.研究協力が得られた医療機関には,研究対象候補者の選定をお願いし,NAFLD患者に研究参加の強制がかからないよう研究者の紹介を依頼した.研究対象候補者への研究説明は,研究対象候補者の自由意思によって院内の指定場所で行った.研究協力に了承の得られた対象者に質問紙と切手付き返信用封筒を手渡した.質問紙の回収は,強制力がかからないよう,研究対象者が,郵送法と留置き法を選択できるよう配慮した.質問紙の提出を以て,研究に同意したものとした.
5. 調査内容 1) NAFLD患者の基本属性・特性についてHLを形成している要因は,「個人的な要因」に年齢・人種・ジェンダー・学歴・職業・雇用・収入など,「社会的環境的要因」に友人・家族やソーシャルサポート,健康教育などがある.また,「相互的な要因」として相互のコミュニケーションスキルなどがある(福田・江口,2016)ことをふまえ,性別,年齢,家族形態,就業状況,学歴を設問項目とした.「BMI」については,NAFLDが肥満を起因とする疾患であることから把握する.一般の企業に勤める働き世代に対するHL調査によると,保健指導を受ける機会のある者の方が,HLが高い傾向にある(荒木田,2014).NAFLD患者に医療従事者が,食事・運動に関する指導を行っているか不明であることから「食事・運動指導を受けた経験」を調査する.食事または運動のいずれかの指導を受けた経験があれば“経験あり”とする.「服薬の有無」については,NAFLD治療の原則は,食事療法,運動療法などで生活習慣を改善することによって,背景にある肥満,糖尿病,脂質異常症,高血圧を是正する(日本消化器病学会・日本肝臓学会,2023)ことから,服薬状況を把握する.NAFLD患者の基本属性・特性の設問は,これら8項目である.
2) NAFLD患者のセルフケアについてNAFLD患者のセルフケアの設問は,「7つの健康習慣」の実践(Breslow & Enstrom, 1980),Orem(2001)がとなえている健康逸脱に対するセルフケア要件の6つのサブシステム,2型糖尿病患者のセルフケア行動の尺度(大徳ら,2006;浅田ら,2020)(以下,J-SDSCA),患者・家族に向けたNAFLDのガイド(日本消化器病学会・日本肝臓学会,2023),特定保健指導における減量達成に関連する生活習慣(真殿ら,2017)などを参考に検討した.その結果,セルフケアの設問は「セルフケアに関する知識や理解・判断・意思決定・遂行」に着目した設問とする.“セルフケアに関する知識や理解の設問”は「普段,外食をする時や食品を購入する時に,栄養成分の表示を参考にしていますか・自分の性別,年齢,体格にあった食事の適量および内容の目安を知っていますか・普段おこなう,ご自身に必要な運動(活動)量を知っていますか」の3項目,“セルフケアの必要性を判断・意思決定についての設問”は「健康のために現在の食生活を変えたいと思いますか・普段の生活において,運動や身体を動かす必要があると思いますか・1年前の体重に比べて現在の体重は」の3項目である.
“セルフケアを遂行した設問”は「朝食を食べていますか・間食をしていますか・就寝2時間前に食事(間食を含む)をしますか・食事をゆっくり食べようと気にかけていますか・息がはずみ汗をかく運動を,1日30分以上していますか」の5項目である.NAFLDと同様に,生活習慣と関連のある2型糖尿病患者を対象にした大徳ら(2006)のJ-SDSCAは,セルフケア行動について,食事・運動・自己血糖測定・服薬管理・フットケア・喫煙の6因子で構成され,指導計画をもとにした具体性のある表記である.この6因子の中でNAFLD患者のセルフケア行動と共通する因子は,食事と運動因子である.しかし,NAFLD患者のガイドライン等による食事・運動の支援は,疾患に特化した具体的な計画にもとづくものというより,7%の減量を目標に,適度な運動を一日30分以上週に3~4回行う,脂肪分の摂りすぎに注意しバランスの取れた食事を行うといった,一般的な健康に向けた食事や運動指導に留まっている(日本消化器病学会・日本肝臓学会,2023).これらのことをふまえ“セルフケアを遂行した設問”項目を抽出した.
また,患者のセルフケアの用語の定義“資源の活用”となるサポートについての設問「家族や身近な人からの食事療法もしくは運動療法のサポートがありますか」の1項目を合わせ,NAFLD患者のセルフケアの設問は12項目である.回答は,選択肢の中から1つだけ選ぶ単一回答である.
3) 慢性疾患患者向けHL尺度(Functional, Communicative and Critical Health Literacy Scale;以下FCCHL)この尺度は,HLが単なる情報の理解というだけでなく,自分に必要な情報を収集し,伝え,批判的に吟味して活用することのできる能力を測定する尺度であり,下位尺度【機能的HL】【伝達的HL】【批判的HL】からなる14項目で構成されている(Ishikawa et al., 2008).FCCHLは,2型糖尿病をもつ患者を対象に開発されており,信頼性・妥当性が検証されている(Chronbach’s α係数は,機能的:.84,伝達的:.77,批判的:.65,total:.78).本調査では,下位尺度【伝達的HL】5項目と【批判的HL】4項目を合わせた9項目を使用する.下位尺度【機能的HL】を除外した理由は,研究対象者が,自立し生活している成人の患者であり,質問紙に答えられることから,この5項目の内容は可能であると判断したからである.FCCHLは,4肢選択法(1.全くなかった,2.あまりなかった,3.時々あった,4.よくあった)で測定するリッカート尺度である.得点が高いほどHLが高いことを表す.
4) 慢性病者のセルフケア能力を査定する質問紙30項目版(Self-Care Agency Questionnaire;以下,SCAQ)NAFLD患者のセルフケア能力は,SCAQ(本庄ら,2015)を用いて評価する.この尺度は,5つの下位尺度【健康のために気をつけていること】【健康のために選んでいること】【体調を整えること】【生活の中で続けること】【支援してくれる人をもつこと】で構成されており,信頼性・妥当性は確認されている(Chronbach’s α係数は,下位尺度:.75~.86,total:.93)(本庄,2007).SCAQは,日本の文化的背景を考慮した質問紙で,慢性疾患を持つ当事者のセルフケア能力を評価する尺度である.本調査では,3つの下位尺度【健康のために選んでいること】5項目,【生活の中で続けること】7項目,【支援してくれる人をもつこと】7項目を合わせた19項目を使用する.下位尺度を一部除外した理由は,質問紙全体の設問数が多く,回答する対象者の負担を考慮したからである.NAFLD患者がセルフケアを生活の中で継続することを見据えた調査であることから3つの下位尺度を選定する.SCAQは,5肢選択法(1.いいえ,2.どちらかというといいえ,3.どちらともいえない,4.どちらかというとはい,5.はい)で測定するリッカート尺度で,得点が高いほどセルフケア能力が高いことを表す.
2つの既存の尺度(FCCHL, SCAQ)を使用するにあたり,下位尺度の一部を選択し使用・分析することについて,それぞれの著者から許可を得た.質問紙は,全48項目からなり,回答には約20分を要する.
6. 分析方法対象者の基本属性・特性は,記述統計量を算出する.質問紙の逆転項目の設問については.逆転項目の処理を行い,分析する.
質問紙中のセルフケアに関する設問12項目を用いて主成分分析を行い,セルフケアの要約統計量とする.理由は,本研究の質問紙は,全体の設問項目が多い一方,対象者の回答負担を考え,セルフケアに関する設問数が少ない.そのため質問紙中のセルフケアに関する設問12項目では,セルフケアを網羅し設問項目ごとに概念との関係を測定できにくく,質問項目の妥当性が明確ではない.しかし,設問12項目には共通の特質としてセルフケアが内在していることから,その特質を定量化する目的で主成分分析を行う.主成分分析は,多数の標本に対して得られている多変量のデータを総合してデータの全体的な特徴を捉えたり,情報の損出を最小に抑えつつ,最も良く全体の特徴を代表するような少数の特性値の組に要約したりする代表的な手法である(伊藤,2020).本研究におけるセルフケアのように,適切な既存の尺度が存在せず,単純加算による尺度得点作成が適切ではないと考えられる場合,セルフケアの変数を作成する手法として最適である.
FCCHLの下位尺度【伝達的HL】の5項目,【批判的HL】の4項目については,2つの下位尺度9項目の平均得点を算出する.下位尺度9項目の平均得点と対象者の属性・特性(服薬の設問を除く)について,t検定,一元配置分散分析を行う.FCCHL尺度は,本来,3つの下位尺度で構成されるが,2つの下位尺度9項目で分析することについては,【伝達的HL】【批判的HL】の項目の相関が高いことから,尺度開発者の許可を得ている.
同様に,SCAQの下位尺度【健康のために選んでいること】5項目,【生活の中で続けること】7項目,【支援してくれる人をもつこと】7項目について,3つの下位尺度19項目の平均得点を算出する.下位尺度19項目の平均得点と対象者の属性・特性(服薬の設問を除く)について,t検定,一元配置分散分析を行う.本来,SCAQの尺度は5つの下位尺度で構成されているが,今回の調査では選定した3つの下位尺度で分析する.3つの下位尺度を用いて分析することについては,その旨を論文に明記することで尺度開発者から分析の許可を得ている.
次いで,HLとセルフケア,セルフケア能力との相関,セルフケアとセルフケア能力との相関を明らかにする.
分析については,統計の専門家の指導のもとで実施した.統計学的な有意水準は,5%未満とし,統計解析には,IBM SPSS Statistics version28を使用する.
7. 倫理的配慮本研究は,看護研究のための倫理指針に基づき,不利益を受けないための研究協力への自由意思・拒否する権利,研究協力に伴うリスクの可能性への対応,プライバシー保護,データの保管方法と廃棄,情報公開を得る権利について,聖隷クリストファー大学倫理委員会の承認を得た後に実施した(承認番号:21003).
質問紙の配布は,A市肝臓内科クリニック,B市消化器内科クリニックで行った.研究対象者1,257名のうち,206名から回答が得られた.一部の回答者において質問項目に無回答があり,尺度FCCHL,SCAQの項目すべてに回答した204名を分析対象者(以下,対象者)とした(有効回答率16.2%).
本研究で使用したFCCHLとSCAQは,既存の尺度であり,信頼性と妥当性の検証は作成者により行われているが,本研究の対象に対し成立することを確認する目的で,Chronbach’s α係数の算出を行った.使用したFCCHLのChronbach’s α係数は,.93,SCAQのChronbach’s α係数は,.90を算出し,内的整合性が支持された.本研究の尺度として使用することが適切であると確認されると共に,本研究の対象が研究対象として適切であることが示された.
1. 対象者の基本属性・特性対象者の基本属性・特性について表1に示した.対象者204名のうち,男性112名(54.9%),女性92名(45.1%)であった.平均年齢は,男性51.2 ± 8.6歳,女性53.6 ± 8.2歳であった.肥満を示すBMI25以上は,147名(72.1%).「服薬あり」156名(76.5%)の内,生活習慣病と関係する「糖尿病治療薬・脂質異常症治療薬・血圧の治療薬」以外の薬を服薬しているのは80名で,服薬ありの内の51.3%を占めていた.NAFLD患者の45名(22.1%)が服薬を要する他の疾患に罹患がなく受診していた.
n = 204
| 項目 | n | (%) | |
|---|---|---|---|
| 性別 | 男性 | 112 | (54.9) |
| 女性 | 92 | (45.1) | |
| 年齢 | 30歳~39歳 | 17 | (8.3) |
| 40歳~49歳 | 54 | (26.5) | |
| 50歳~59歳 | 87 | (42.6) | |
| 60歳~65歳 | 46 | (22.5) | |
| 同居家族 | あり | 180 | (88.2) |
| なし | 23 | (11.2) | |
| 無回答 | 1 | (0.4) | |
| 就業 | あり | 175 | (85.8) |
| なし | 27 | (13.2) | |
| 無回答 | 2 | (0.9) | |
| 学歴 | 中学・高校・専門学校卒 | 128 | (62.7) |
| 短大・大学・大学院卒 | 75 | (36.8) | |
| 無回答 | 1 | (0.4) | |
| BMI | 22以上25未満 | 57 | (27.9) |
| 25以上30未満 | 104 | (51.0) | |
| 30以上 | 43 | (21.1) | |
| 食事・運動指導を受けた経験 | あり | 83 | (40.7) |
| なし | 119 | (58.3) | |
| 無回答 | 2 | (0.9) | |
| 服薬 | あり | 156 | (76.5) |
| (複数回答) | |||
| 糖尿病治療薬 | 19 | ||
| 脂質異常症治療薬 | 49 | ||
| 血圧の治療薬 | 64 | ||
| その他 | 80 | ||
| なし | 45 | (22.1) | |
| 無回答 | 3 | (1.5) | |
BMI:Body Mass Index,体格指数
セルフケアに関する12の設問について,記述統計とセルフケアの要約統計量を抽出するために行った主成分分析の結果を表2に示した.主成分分析の際は,「わからない」と回答のあったデータと「無回答」を除き分析を行った.主成分分析を行い5成分が抽出された.第1主成分の寄与率は,20.75%であった.最も強い特質を示す変数である第1主成分得点をセルフケアの要約統計量とした.
n = 204
| 項目 | n | % | 主成分負荷量 | |
|---|---|---|---|---|
| 朝食を食べていますか | ほとんど食べない | 25 | 12.3 | .29 |
| 時々食べる | 20 | 9.8 | ||
| ほぼ毎日食べる | 159 | 77.9 | ||
| 間食をしていますか | ほとんど食べない | 44 | 21.6 | .05 |
| 時々食べる | 110 | 53.9 | ||
| ほぼ毎日食べる | 50 | 24.5 | ||
| 就寝2時間前に食事(間食も含む)をしますか | ほとんどしない | 79 | 38.7 | .43 |
| 時々する | 80 | 39.2 | ||
| ほぼ毎日する | 45 | 22.1 | ||
| 食事をゆっくり食べようと気にかけていますか | 全く気にかけない | 28 | 13.7 | .37 |
| あまり気にかけない | 71 | 34.8 | ||
| 時々気にかける | 77 | 37.7 | ||
| いつも気にかける | 28 | 13.7 | ||
| 普段,外食をする時や食品を購入する時に,栄養成分の表示を参考にしていますか | 全く参考にしない | 26 | 12.7 | .64 |
| あまり参考にしない | 74 | 36.3 | ||
| 時々参考にする | 82 | 40.2 | ||
| いつも参考にする | 22 | 10.8 | ||
| 健康のために現在の食生活を変えたいと思いますか | 全く思わない | 3 | 1.5 | .21 |
| あまり思わない | 33 | 16.2 | ||
| 時々思う | 120 | 58.8 | ||
| いつも思う | 48 | 23.5 | ||
| 自分の性別,年齢,体格にあった食事の適量および内容の目安を知っていますか | 全く知らない | 16 | 7.8 | .76 |
| あまり知らない | 99 | 48.5 | ||
| おおむね知っている | 83 | 40.7 | ||
| 非常に知っている | 6 | 2.9 | ||
| 普段おこなう,ご自身に必要な運動(活動)量を知っていますか | 全く知らない | 21 | 10.3 | .75 |
| あまり知らない | 111 | 54.4 | ||
| おおむね知っている | 69 | 33.8 | ||
| 非常に知っている | 3 | 1.5 | ||
| 息がはずみ汗をかく運動を,1日30分以上していますか | 全くしていない | 89 | 43.6 | .42 |
| おおむね週1回している | 46 | 22.5 | ||
| 週2回以上している | 69 | 33.8 | ||
| 普段の生活において,運動や身体を動かす必要があると思いますか | 全く思わない | 1 | 0.5 | .31 |
| あまり思わない | 7 | 3.4 | ||
| 時々思う | 61 | 29.9 | ||
| いつも思う | 135 | 66.2 | ||
| 1年前の体重に比べて現在の体重は | 増えたと思う | 93 | 45.8 | .34a |
| 変わらないと思う | 68 | 33.5 | ||
| 減ったと思う | 38 | 18.7 | ||
| わからない | 4 | 2.0 | ||
| 無回答 | 1 | |||
| 家族や身近な人からの食事療法もしくは運動療法のサポートがありますか | 全くない | 74 | 36.3 | .33 |
| あまりない | 67 | 32.8 | ||
| 時々ある | 45 | 22.1 | ||
| いつもある | 18 | 8.8 | ||
a:「わからない,無回答」の回答者を除外しn = 199
主成分負荷量では,「普段,外食をする時や食品を購入する時に,栄養成分の表示を参考にしていますか」は.64,「自分の性別,年齢,体格にあった食事の適量および内容の目安を知っていますか」は.76,「普段おこなう,ご自身に必要な運動(活動)量を知っていますか」は.75と高く,主成分におけるこれらの変数の寄与が大きい.ここで示した負荷量の高い変数は,セルフケアを行う際の具体的な健康上の問題を解決するために,セルフケアについて,情報を得ることや知識,理解することを示す変数であることが明らかになった.
3. 基本属性・特性とFCCHL,SCAQの関連についてFCCHLの下位尺度【伝達的HL】の5項目,【批判的HL】の4項目の2つの下位尺度9項目の平均得点は2.6であった.SCAQの下位尺度【健康のために選んでいること】5項目,【生活の中で続けること】7項目,【支援してくれる人をもつこと】7項目の3つの下位尺度19項目の平均得点は,3.6であった.
基本属性・特性とHL,セルフケア能力の関連について表3に示した.対象者の基本属性・特性にある「服薬の有無」は,服薬について複数回答があることや,「その他の服薬」が服薬ありの中に含まれることから,糖尿病,脂質異常症,血圧の服薬治療のあるNAFLD患者とない患者のFCCHL,SCAQの差をみることに妥当性が得られないため,「服薬の有無」とFCCHL,SCAQとの関連は分析していない.
| 項目 | n | FCCHL | SCAQ | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 平均±SD | P値 | 平均±SD | P値 | |||
| 性別 | ||||||
| 男性 | 112 | 18.6 ± 5.6 | .863a) | 65.1 ± 10.0 | .025*a) | |
| 女性 | 92 | 18.7 ± 6.7 | 68.5 ± 11.7 | |||
| 年齢 | ||||||
| 30歳~39歳 | 17 | 17.7 ± 6.4 | .164b) | 64.5 ± 10.8 | .727b) | |
| 40歳~49歳 | 54 | 17.2 ± 7.2 | 66.0 ± 10.8 | |||
| 50歳~59歳 | 87 | 19.0 ± 6.2 | 66.9 ± 10.8 | |||
| 60歳~65歳 | 46 | 19.8 ± 4.2 | 67.7 ± 11.4 | |||
| 同居家族 | ||||||
| あり | 180 | 18.8 ± 6.0 | .293a) | 66.7 ± 10.9 | .661a) | |
| なし | 23 | 17.1 ± 7.3 | 65.6 ± 11.5 | |||
| 無回答 | 1 | |||||
| 就業 | ||||||
| あり | 175 | 18.2 ± 5.9 | .038*a) | 65.7 ± 10.3 | .012*a) | |
| なし | 27 | 21.2 ± 6.6 | 72.5 ± 12.7 | |||
| 無回答 | 2 | |||||
| 学歴 | ||||||
| 中学卒・高等学校卒・専門学校卒 | 128 | 18.0 ± 6.0 | .049*a) | 65.0 ± 10.6 | .005**a) | |
| 短大卒・大学卒・大学院卒 | 75 | 19.8 ± 6.2 | 69.5 ± 11.0 | |||
| 無回答 | 1 | |||||
| BMI | ||||||
| 22以上25未満 | 57 | 19.7 ± 5.6 | .033*b) | 69.4 ± 11.2 | .078b) | |
| 25以上30未満 | 104 | 17.5 ± 6.0 | 65.4 ± 10.9 | |||
| 30以上 | 43 | 19.8 ± 6.7 | 66.0 ± 9.9 | |||
| 食事・運動指導を受けた経験 | ||||||
| あり | 83 | 21.7 ± 5.1 | <.001**b) | 69.5 ± 10.5 | .002*a) | |
| なし | 119 | 16.6 ± 5.9 | 64.7 ± 10.8 | |||
| 無回答 | 2 | |||||
FCCHL:Functional, Communicative and Critical Health Literacy Scale
SCAQ:Self-Care Agency Questionnaire
BMI:Body Mass Index,体格指数
SD:Standard Deviation,標準偏差
a)t検定 b)一元配置分散分析
** p < .01,* p < .05
HLは,就業,学歴,BMI,食事・運動指導を受けた経験の有無による差が認められた.一方,性別・年齢・同居家族の有無による差は認められなかった.
セルフケア能力は,性別,就業,学歴,食事・運動指導を受けた経験の有無による差が認められた.一方,年齢・同居家族の有無・BMIによる差は認められなかった.
4. セルフケアとHL,セルフケア能力の関連NAFLD患者のHLは,セルフケアと弱い相関(r = .36,p < .01),セルフケア能力と弱い相関(r = .38,p < .01)があった.セルフケアとセルフケア能力は中程度の相関(r = .59,p < .01)を有していた.
本研究において,標準体重(BMI22)を超えているが,一般的に肥満とは言えないNAFLD患者が3割だったという結果は,わが国におけるNAFLD患者の約25%は非肥満者であるという先行研究(Ito et al., 2021)の結果と一致していた.NAFLDは生活習慣病の週末像であり,2型糖尿病・脂質異常症などと同様に肥満を起因としている.しかし,肥満でないNAFLD罹患者がいることを一般的な認識としてもってもらう必要があると考えられる.肥満とされていない肥満予備群の生活の見直しやNAFLDに注目した生活習慣病の支援が求められる.また,NAFLDの改善には5~7%の体重の減量が必要であるが(日本消化器病学会・日本肝臓学会,2020),肥満でない者は,肥満者より減量することが困難である可能性が予測される.そのことをふまえ,NAFLD患者のセルフケアが継続できるよう支援の検討が必要であると考えられる.
国民健康・栄養調査では,4割が健康のために普段の食生活や運動習慣の改善に関心がなかった(厚生労働省,2019).しかし,NAFLD患者は,8割以上が健康のために食生活を変えたいと思い,普段の生活において運動や身体を動かす必要があると感じていたことは,生活改善に関心があると推測される.しかし,30分以上の歩行や運動を実施できているNAFLD患者は3割程度と少ない状況は,国民健康・栄養調査と同じ低い結果であった.2型糖尿病患者は,セルフケア行動が,指導の有無に関連する(前田ら,2019)と報告されている.NAFLD患者は,他の疾患を合併させないために,NAFLD患者に特化した,運動を生活に取り入れながら,食事療法と併用させられるセルフケア支援を導入することは課題であると考えられる.
このようにNAFLD患者のセルフケア支援の必要性が考えられるが「食事・運動指導を受けた経験あり」が4割程度であった.40歳以上に行われる,特定健康診査のメタボリックシンドローム該当者は,特定保健指導を受けることができ,脂肪肝であれば,健康診断や人間ドックで食事・運動の見直しやセルフケアについて生活習慣改善の指導が行われる(新,2017).本調査の結果は,特定保健指導を受けていない可能性や,医療機関を受診しても,NAFLD患者が,必ずセルフケアの指導を受けられていないことが推測される.
医療機関における診療報酬の面から見た場合,生活習慣病管理料についてはNAFLDのみの罹患の場合は該当しない.本調査では,NAFLD患者の7割が何らかの服薬治療を受けており,糖尿病などの疾患を合併している場合は,健康管理に関するセルフケア支援を受ける可能性があると考えられる.石川(2011)は,利用しやすい形で健康や疾病,保健サービスなどに関する情報を提供することの必要性を述べており,NAFLD患者がセルフケア支援の機会を外来受診時に継続的に得られるよう検討することが不可欠であると考えられる.
4割のNAFLD患者が「家族や身近な人からの食事・運動療法のサポートが,全くない」という回答であった.NAFLDは初期の段階において,自覚症状がないことは,糖尿病や高血圧,脂質異常症と同様である.しかし,特に症状が現れにくい肝臓疾患であるNAFLDは,患者や家族が疾患から危機感を得られにくく,疾患や治療への認識や危機感が低いことが推測される.疾患の回復に向けた早急な対応が,家族や身近な人から得られない状況にどのように関われるのか,支援方法の可視化や一貫した支援の必要性がのぞまれると考えられる.セルフケアの成否については,特に家族の支援が大きく影響する(宗像,1996;中島・安東,2021).受診者が健康管理をどのように取り入れるかを支援する重要性がある(小澤ら,2013;桐生・佐藤,2019).NAFLD患者のセルフケア支援では,家族・ソーシャルサポートに対し,疾患・治療の理解を深めてもらい,支援の協力を依頼していくことが必要であると考えられる.
2. NAFLD患者のHL,セルフケア,セルフケア能力についてNAFLD患者のFCCHLの下位尺度【伝達的HL】の5項目,【批判的HL】の4項目の2つの下位尺度9項目の平均得点は2.6であった.日本人のHLは,アジア諸国やEU8か国と比較した結果,かなり低い状況であることが報告されている(中山,2021).NAFLD患者は,自覚症状・直接的な治療がないこと,危機感が生じにくいことから,HLが低くなりやすいことが推測される.NAFLD患者がセルフケアを行うために,疾患や治療についてHLを高められるようサポートすることが必要と考えられる.
NAFLD患者のHLは,就業・学歴による差が認められた.中山(2014)は,HLは低学歴者や失業者では低い傾向にあると述べていることから,セルフケアの支援では,NAFLD患者のセルフケアを受け入れる準備状況を見極め,HLの能力に合わせた関わりが重要であると考えられる.HLとセルフケア能力については,食事・運動指導を受けた経験の有無による差が認められた.企業に勤務する労働者に行った調査によると,保健指導を受ける機会のある者の方が,HLが高い傾向になる(荒木田,2014)とされており,NAFLD患者は,食事・運動指導を受けることで,HLやセルフケア能力を維持向上させると推測される.HLの向上は,健康教育や予防行動,疾病予防につながる(荒木田,2014;福田・江口,2016).NAFLD患者のセルフケア支援にHLへの関わりを導入する効果が期待できると考えられる.NAFLD患者のHLとセルフケア,セルフケア能力に弱い相関ではあるが見られたことは,HLの支援を行うことがセルフケアにつながる可能性があり,セルフケア能力の向上につながると期待される.
NAFLD患者のセルフケアを「知識・理解・判断・意思決定・遂行」から調査し主成分分析を行った結果,NAFLD患者のセルフケアの特徴は,具体的な健康上の問題を解決するために,情報を得ることやセルフケアについての知識・理解をすることであった.劉ら(2022)の報告では,糖尿病患者は,セルフケアである食事療法や運動療法,薬物療法を日常に取り入れ社会生活を送れるよう,セルフケア目標の達成に“生活のバランス”が重要であると述べている.また,診断後まもない2型糖尿病患者の教育入院の意味づけには,【知識・技術の獲得と自分の身体の新たな理解】が必要であり(中原ら,2020),2型糖尿病患者のセルフケアを促進するには,自己効力感が影響する(大山・岩永,2019).NAFLD患者と同じ肥満を起因とする2型糖尿病のセルフケアにおいては,情報を得ることや知識,理解からセルフケアにつなげることが必要になると推測される.NAFLD患者の場合は,疾患の情報・検査の値・セルフケアの方法などの内容を理解できるよう,抽象的に患者に伝えるのではなく,患者の状況に応じた情報を選択できることが必要であると考えられる.数間(2017)は,看護師は,患者に必要とされる行動の意味とそれが持つ価値(効果)を伝え,その人に合わせた具体策を一緒に相談することで,患者の認知面・心理面が変化し,行動が変化すると述べている.セルフケアの意味とそれが持つ価値(効果)を伝え,セルフケアの実施・継続を支えるには,情報提供しそれを活用できる支援が有効と考えられる.医療従事者からの情報を聞き,自身の身体にとって良いと分かっていることを,いかに実施していけるかを支援することが重要であると考えられる.
2022年診療報酬改定によって,生活習慣病管理料は「当該治療計画に基づく総合的な治療管理は,看護師,薬剤師,管理栄養士等の多職種と連携して実施しても差し支えない」(厚生労働省,2022)と改定された.看護師が専門職連携に加わり,NAFLD患者のセルフケア支援に関わる機会が増えることで,技術と知識を提供しあい,相互に作用しつつ患者の目指すセルフケアの目標に向け協働できると推測される.一般的にNAFLDに罹患しても患者は長期に自覚症状がなく,急激な悪化はない(日本消化器病学会・日本肝臓学会,2023).しかし,早期にセルフケアを行い,生活習慣を改善することで併発疾患の罹患を抑えられると考えられる.外来看護師が,管理栄養士などとの多職種連携をするにあたり,NAFLD患者のレディネスを把握し,HLを高め,セルフケアについて具体的な方法を提案することで,セルフケア継続のための効果的な支援につながることが示唆された.
3. 本研究の限界と今後の課題2施設のみのデータであり質問紙調査の対象者数が少なく,対象に偏りがあるといった限界を有する.すべてのNAFLD患者を代表するデータではないが,一定のNAFLD患者の傾向を実態把握できたと考える.
NAFLDの病名について,2023年9月に日本肝臓学会は,脂肪性肝疾患をsteatotic liver disease(以下,SLD)と総称し,従来のNAFLDはメタボリック症候群の基準の一部を満たす場合に限定し,metabolic dysfunction associated steatotic liver disease(MASLD)とすることが発表された.今後は,SLD患者を対象にセルフケア支援が,情報提供のみでなく,情報を捉えることから活用(行動)できるようHLを活用したセルフケア支援の可視化が課題である.
NAFLD患者のHL,セルフケア,セルフケア能力に関する実態を調査した.
1.NAFLD患者は,BMI25以上の者が7割を超えていた.また,標準体重(BMI22)を超えているが一般的に肥満とは言えないNAFLD患者が3割であり,2割が服薬を要する他の疾患に罹患せずNAFLDで受診していた.ほとんどのNAFLD患者が運動や身体を動かす必要があると思っているが,4割が,息がはずみ汗をかく運動を1日30分以上,全くしていなかった.
2.NAFLD患者のセルフケアは,セルフケアを行う際の具体的な健康上の問題を解決するために,セルフケアについて情報を得ることや知識をもち,理解することであった.
3.NAFLD患者のHLは,就業,学歴,BMI,食事・運動指導を受けた経験の有無による差があると認められた.セルフケア能力は,性別,就業,学歴,食事・運動指導を受けた経験の有無による差があると認められた.
4.NAFLD患者のHLは,セルフケア,セルフケア能力ともに弱い相関であった.
付記:本研究の内容は,第43回日本看護科学学会学術集会において発表した.本研究は,聖隷クリストファー大学大学院に提出した博士論文の一部に加筆修正を加えたものである.
謝辞:ご協力いただきました医療機関の方々,NAFLD患者の皆様に心より御礼申し上げます.
利益相反:本研究における利益相反は存在しない.
著者資格:AN,KI,は,研究の着想およびデザインへ貢献し,ANはデータ収集,分析を実施した.ANが草稿を作成し,KIは草稿に助言した.著者全員が最終原稿を承認した.