目的:本研究は,医療福祉現場における対人ケアの「思いやり(コンパッション)」を測定する尺度について,海外での開発状況と異文化適用の課題を明らかにすることを目的とした.
方法:2009年以降に発表された英語文献を対象にRapid Evidence Assessmentによる文献レビューを実施し,尺度の構成,評価主体,異文化での翻訳・適用状況を整理した.
結果:信頼性・妥当性が確認された14尺度のうち10が自己評価尺度であり,項目は「内的志向性」「共感・理解」「行動」に分類された.尺度は主にアメリカ合衆国(8件),イギリス(2件),カナダ,スペイン,韓国,イラン,オランダで開発されており,アメリカ主導の傾向が顕著であった.異文化適用時には,項目削除や因子構造の変更が見られた.
結論:尺度の開発国の文化的前提が測定内容に影響する可能性があるため,翻訳や新規開発に際しては,適用国の文化や医療制度を十分に考慮する必要がある.