2025 年 45 巻 p. 821-832
目的:精神疾患をもつ親の成人した子どもにおけるベネフィット・ファインディングを明らかにする.
方法:対象は当事者グループに参加経験のある11名で,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより質的記述的に分析した.
結果:対象者は小児期から家庭内の困難を経験し【ピアや身近な人による受容】や【精神疾患に対する理解の深化】を通して《孤独感が和らぐとともに内面が変容していく経験》を重ねていた.その結果【人の支えとつながりの実感】や【自分の中にある強さへの気づき】など肯定的側面を見出していた.一方【回想や内省により引き起こされる苦しみ】もあり,意味づけには複雑な感情に対処し自己を保つための側面も含まれていた.
結論:ベネフィット・ファインディングは一直線的なものではなく葛藤や苦悩を含みながら形成されるものであり,ピアとの出会いや安心できる環境がその過程を支える重要な要素であると示唆された.