1992 年 12 巻 2 号 p. 10-16
非活動的高齢者に運動援助を行う際, どの程度の運動なら安全であるかアセスメントする必要があるため, その方法の一つとして, 日常身体活動の程度に応じて個別に目標心拍数を設定する方法を検討した.
高齢者スポーツ講座の参加者を対象に, 講座日とそれ以外の平日に24時間心拍数を連続測定した. 2回とも測定できたのは, 男性10名 (年齢68~85歳), 女性10名 (年齢63~74歳) である. なお血圧, 体重, 既往症, 日常の運動習慣, 睡眠時間等も調べた.
20名の日常身体活動は, (1) 少活動型; 運動習慣がなく徒歩・自転車外出も少ない, (2) ゆっくり志向の活動型; ゲートボール, 1週間に4日以上, (3) 機敏志向の活動型; トリム,ダンス等, 1週間に1~3日, の3型に分かれた.(2) に属する人の多くは境界域高血圧・高血圧であった.
24時間心拍数の分布の上限値に基づき,日常身体活動が (1) 以下の非活動的なケースと (2) のケースでは, 当初の目標心拍数として90拍/分台が適当と考える. なお, 100~120拍/分を目標にしてよいのは (3) のケースである.