日本看護科学会誌
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与薬業務の安全性と看護業務環境との関連
坂口 三枝子
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1995 年 15 巻 4 号 p. 15-22

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抄録

与薬業務の安全性に影響する因子について, 看護業務環境 (患者の看護度, 看護婦数など) や病棟での薬剤使用量 (内外用剤) の面から検討した。病床規模約600床の大学病院で, 病棟に勤務する看護婦約230名を対象にした質問紙調査を実施した。一般診療科における回収数は2,157, うち病棟で勤務した分は1,324, 回収率は9月と10月あわせて90.4%であった。患者の看護度については, 婦長を対象に質問紙調査を行なった。
調査期間中(延べ2週間)の与薬ミスは61回, ニアミスは118回, 医師のオーダーに関するエラーは88回, 他者のエラーに対処したのは141回であった。勤務全体の12%において, 看護婦は何らかのエラーに対応していた。与薬ミス・ニアミスの発生に対しては「看護必要度が高い患者数」と「病棟での薬剤使用量 (内外用剤)」が影響していた。また,「勤務者あたりの看護度スコア」が高いとエラーのリスクが高く, 低いとエラーへの対処行為が多い傾向がみられた。対象病院では, 患者の重症度や薬剤量の影響を最も受けていたのは準夜勤であった。与薬業務の安全性を指標化することによって, 安全性に影響している因子を特定でき, 質保証につなげることができる。

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