日本看護科学会誌
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がんの終末期で症状緩和をうける患者の家族のストレス・コーピング
一般病棟と緩和ケア病棟の比較
吉田 智美
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1996 年 16 巻 3 号 p. 10-20

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抄録
本研究は, がんの終末期で症状緩和のためのケアを受ける患者にかかわる家族のストレス・コーピングにはどのようなものがあるのか, また一般病棟の家族と緩和ケア病棟の家族とでは, どのような相違があるのかを明らかにすることを目的とした。
医師より患者の病名・予後について知らされており, 患者の身の回りの世話などを行う家族員35名を対象とし, 面接法と参加観察を行い, 得られた質的データを分析した。
その結果, 以下の知見が得られた。一般病棟の家族と緩和ケア病棟の家族の体験している困難・心配などは共通の要素を持ちながら内容において,(1) 患者の苦痛,(2) 今後の患者の病状,(3) 患者の症状緩和, (4) 患者の死期が近いこと,(5) 患者の近い死に対する受けとめ, (6) 患者の役割不遂行という6項目での相違と,(1) 面会 (付き添い) での困難,(2) 病名告知・予後という2項目での類似が見られた。体験に対するコーピングは, 内容において問題志向的タイプより感情志向的タイプにより多くの相違が見られた。
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