日本看護科学会誌
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熱布による腰背部温罨法が腸音に及ぼす影響
菱沼 典子平松 則子春日 美香子大吉 三千代香春 知永操 華子川島 みどり
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1997 年 17 巻 1 号 p. 32-39

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抄録
腹満や便秘に対し, 経験上有効といわれている熱布による腰背部温罨法の, 腸管の動きに対する影響と, 局所の皮膚に対する影響を明らかにする目的で, 実験研究を行った. 8名の健康な女性 (27~47歳) に, 熱布による温罨法を施行し, 以下のような結果を得た.
1) 腸音は施行直後に1.7倍に増加し, 施行前に対し, 有意差が認められた.
2) 貼用部の皮膚温は, 41.1-43.1度まで一過性に上昇したが, 火傷は生じなかった.
3) 背部の血流および上腕部の血流は, 施行前に比べ1.4倍になり, 全身が暖まった.
4) 施行前後で、体温, 脈拍, 血圧に変動は認められなかった.
これらの結果から, 熱布による腰背部温罨法は, 腸管の動きを促進し, 便秘や腹満の解消をはかる看護技術となりうることが示唆された.
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