日本看護科学会誌
Online ISSN : 2185-8888
Print ISSN : 0287-5330
ISSN-L : 0287-5330
塩酸ブレオマイシンの褥瘡発生に及ぼす影響に関するウサギを用いた病理学的研究
武田 利明永野 みどり
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 19 巻 3 号 p. 19-27

詳細
抄録
抗がん剤である塩酸ブレオマイシン (BLM) の褥瘡発生に及ぼす影響について, 実験動物を用い病理学的手法により検索した. 本研究では, 10匹のウサギをBLM投与群と非投与群 (対照群) の2群に分け実験を行った. すなわち, BLMを2.5mg/kgの量で週1回, 5週間筋肉内投与したウサギをBLM投与群とし, BLMの溶媒である生理食塩液を同様に投与したウサギを対照群とした. これらの各群の動物に作製した褥瘡について, 肉眼的観察と組織学的検査を実施し, 褥瘡発生に及ぼすBLMの影響について検討した. 実験的褥瘡は, ウサギの腰背部皮膚を除毛した後, 大腿骨第三転子部上の組織に138kPa(1.4kg/cm2)の圧力で4時間加圧することにより作製した. 病巣の肉眼的観察は, 作製後5日目まで毎日実施し, 組織学的検査は, 5日目の褥瘡および肺について光学顕微鏡を用いて実施した. その結果, 肉眼的観察では, BLM投与群において, 作製後1日目に強い発赤と浮腫形成が観察され, 褥瘡治癒遅延も認められた. 組織学的検査では, 全ての動物に肺病変は観察されなかった. 褥瘡の組織所見では, BLM投与群において, 多発性血栓形成や表皮再生不良が認められた.
著者関連情報
© 公益社団法人 日本看護科学学会
前の記事 次の記事
feedback
Top