日本看護科学会誌
Online ISSN : 2185-8888
Print ISSN : 0287-5330
ISSN-L : 0287-5330
看護専門職における自律性と学生指導役割との関連
菊池 昭江
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 19 巻 3 号 p. 47-54

詳細
抄録

本研究の目的は, 実習指導の経験を持つ看護婦の学生指導役割に対する意識を明らかにし, 看護専門職としての自律性との関連性を検討することである. 臨床で働く看護婦283名 (准看護婦を除く) を対象に調査を実施した. 自律性の測定には, 菊池・原田 (1996) の看護専門職における自律性測定尺度を用いた. その結果, 以下のことが明らかになった.
(1) 本研究における看護専門職としての自律性は,“抽象的判断能力”“具体的判断能力”“認知能力”“実践能力”“自立的判断能力”の5つの因子から成り立っていた.
(2) 実習指導経験者の学生指導役割意識は, 職務経験年数の多さと関連性がみられ, 経験年数5年未満と5~9年, 10年以上との間で有意差が示された.
(3)“認知能力”は, 実習指導経験者の方が未経験者よりも有意に高い傾向を示した (P<.05). 実習指導者としての“認知能力”“実践能力”の形成には, 3~5年の実習指導経験が必要であることが示唆された.
(4) 実習指導経験者の“抽象的判断能力”及び“実践能力”は, 学生指導役割意識との問で有意な正の相関を示した(γ=504と.559, いずれもP<.001).

著者関連情報
© 公益社団法人 日本看護科学学会
前の記事 次の記事
feedback
Top