日本看護科学会誌
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成人期の術前患者の認知的評価における尺度開発への試み
山本 直美
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1999 年 19 巻 3 号 p. 55-63

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抄録

本研究は成人期の術前患者の認知的評価尺度開発への試みとして初期段階での尺度の信頼性と妥当性を検討することを目的とした.
はじめに,尺度原案はLazarusら (1984/1991) の理論を概念枠組みとし, また面接を通じて得たデータを基に3下位尺度70項目で構成された.
次に尺度の信頼性と妥当性を内容妥当性, 表面妥当性, 構成概念妥当性, 内的整合性の視点から検討した. 内容妥当性は外科系実践看護婦6名と成人看護学領域の研究者21名の計27名を被検者に, 表面妥当性はがん疾患で術前1週間以内の患者17名を被検者に検討した. この時点で4下位尺度55項目となった. 構成概念妥当性と内的整合性 (信頼性) は同条件の患者70名を被検者に検討した. 因子分析 (主因子法・バリマックス回転) の結果7因子を抽出し, 最終的には手術との出会いにおける (1) 抑うつ的見積もり,(2) 消極的対処選択への見積もり,(3) 好機的見積もり,(4)防衛的見積もり,(5) 挑戦的見積もり,(6) 回避的見積もり,(7) 楽観的対処選択への見積もり, の7下位尺度47項目で構成された. また内的整合性は全体でCronbach's α 係数0.83, 下位尺度ごとでCronbach's α 係数0.62~0.86の値を示し, 尺度開発への試みの段階としてはある程度の信頼性と妥当性を得ることができた.

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