抄録
血液透析患者の心理的適応に影響する要因を明らかにすること, また透析スタッフへの満足度や導入時のインフォームドコンセントが心理的適応に影響するかについて検討した. 透析歴1~5年の196名の外来血液透析患者を対象に, 種々の要因についてのスケールを用いて面接式のアンケート調査を行い, ステップワイズ重回帰分析にて検討した.
心理的適応には,「ストレスの認知状態」(β=- 0.389),「友人からの手段的支援」(β=0. 236),「年齢」(β=- 0.230),「精神健康状態」,「導入時どの程度納得していたか」が影響しており, これらの変数で分散の46.8%が説明された. また, 有職者の心理的適応は無職の患者より有意によかった.
血液透析患者の心理的適応を高めるためには, 医療提供者は患者の心理状態を十分に把握してストレスの対処に努めること, 社会復帰を促して友人や周囲からの支援を受けやすくすること, 導入時に患者が十分納得するように必要な医療情報を与えることが重要であると思われた.