日本看護科学会誌
Online ISSN : 2185-8888
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家族介護における介護行動及び介護者のQOLに関する研究
-介護行動スケールの開発とその信頼性・妥当性の検討-
斉藤 基
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2003 年 23 巻 3 号 p. 57-68

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抄録
本研究は, 介護の実態及び介護行動, 介護者のQOLに影響する要因を明らかにし, 介護行動スケールの信頼性・妥当性の検討を行うことを目的とした. 訪問看護ステーションによるサービスを利用している介護者105人を対象として介護者のインフォーマル・ソーシャルサポート, 介護者の自己効力感, 介護者と要介護者の関係性, 介護行動, 介護者のQOL等に関して訪問面接調査を実施し, 分析を行った.
その結果, 調査対象者が介護する家族の要介護度は重度な者が多かった. 介護行動を規定する要因として, 介護者と要介護者の関係性と正の有意な関連が, 要介護度と負の有意な関連がみられた. 介護者のQOLを規定する要因としては, 介護者の健康状態と負の有意な関連がみられた. 介護者の自己効力感, 介護者のインフォーマル・ソーシャルサポートに関するオリジナルスケールは, それぞれ信頼性が確認された. 介護行動スケールは, 適切な因子構造を持ち,その内容的妥当性や信頼性が支持されたことから, 介護者が提供している介護内容及び配慮しなければならない点を十分反映しており, 実用に向けての可能性が示唆された.
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