日本看護科学会誌
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高脂血症有所見者における自己効力感および健康統制所在の意義
定期健康診断有所見者の1年後の健診結果における検討
中田 康夫石川 雄一津田 紀子
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2004 年 24 巻 1 号 p. 21-29

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抄録
本研究は, 企業の定期健康診断において高脂血症により「異常あり」と判定された勤労者59名を対象とし, 対象者の自己効力感および健康統制所在の相違が, 1年後の血清脂質値およびこれに影響を及ぼす肥満関連指標の変化に関連しているかどうか明らかにすることを目的とした. 血清総コレステロール値, 中性脂肪値, HDLコレステロール値およびBMI, ウエスト, 体脂肪率それぞれについて, 2年目の測定値が1年目の測定値と比べ低下している者を低下群, 上昇もしくは変化のない者を悪化・不変群の2群に分類した. そして,両群間の一般性セルフ・エフイカシー尺度 (GSES) および日本語版Health Locus of Control尺度 (JHLCS) の5つの下位尺度の得点の差を比較・検討した. その結果, GSESではすべての項目で両群間に有意差は認められなかったが, JHLCSでは血清総コレステロール値の変化において, 悪化・不変群は改善群に比べ下位尺度の“super natural”が有意に高く(P=0.045),“internal”が低い傾向 (P=0.092) にあることが明らかとなった. 以上のことから, 高脂血症有所見者のもつ健康統制所在の相違が, 保健指導後の血清脂質値の経年的変化に影響を及ぼす可能性が示唆された. したがって, 企業の健康管理においては, 保健行動に影響を及ぼすと考えられている健康統制所在を個別に把握し, 勤労者各人により適した保健指導を実践していくことが重要であると考えられた.
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