日本看護科学会誌
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24 巻, 1 号
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  • 片岡 弥恵子
    2004 年 24 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    近年, 性暴力被害が女性の健康に大きな影響を及ぼすことが明らかにされてきたが, 性暴力被害に関する看護者への教育プログラムの開発と評価はほとんど行われていない. そこで本研究は, 性暴力被害に関する看護者への教育プログラムを実施し, 評価することを目的とした.
    対象は, 教育プログラムに参加を希望した33名の看護者である. 教育プログラムは7時間で, 強姦神話を含めた性暴力被害者に対する看護者の態度を重視した. 成果変数は, 看護者の「性暴力に対する態度」,「性暴力に関する一般知識」,「性暴力被害者への看護ケア」の3点とし, プログラム前, プログラム後, 1カ月後の測定を行った. 比較群として, 教育プログラムに参加していない看護者33名を抽出した.
    二元配置分散分析の結果,「性暴力に対する態度」得点の変化 (F=6.848, df=1, p=.011) および「性暴力被害者の看護」得点の変化 (F=28.946, df=1, p<.001) に2群間で有意な差が認められた. これらの結果から, 教育プログラムは性暴力に対する看護者の態度を変化させ, 性暴力被害者への看護の理解を高めるのに効果的であったと結論づけることができる.
  • 森本 美智子, 高井 研一
    2004 年 24 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, COPD患者の機能障害と活動能力の関連性を明らかにするとともに, 機能障害によって活動能力のどの領域が最も影響を受けるのかを明らかにすることであった. 対象はCOPD診断基準を満たす86名であった. MIMICモデルを用いて分析した結果,「機能障害」の「身のまわりの動作」,「家庭内生活関連動作」,「屋外生活関連動作」,「社会的役割活動」への寄与率は52.5%, 74.0%, 72.4%, 45.6%で, 「機能障害」は「家庭内生活関連動作」,「屋外生活関連動作」に強く影響を及ぼす結果であった. 一方,「機能障害」の59.0%は閉寒性換気障害の程度, 息切れの程度, 栄養状態で説明できるものの, 41.0%はその他の要因が機能障害に関連しているという結果であった. このことから, 現時点では「家庭内生活関連動作」,「屋外生活関連動作」を行えているかどうかをまず把握し, COPD患者のQOLの維持あるいは向上に向けて介入していくことが妥当であると考えられた.
  • 定期健康診断有所見者の1年後の健診結果における検討
    中田 康夫, 石川 雄一, 津田 紀子
    2004 年 24 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究は, 企業の定期健康診断において高脂血症により「異常あり」と判定された勤労者59名を対象とし, 対象者の自己効力感および健康統制所在の相違が, 1年後の血清脂質値およびこれに影響を及ぼす肥満関連指標の変化に関連しているかどうか明らかにすることを目的とした. 血清総コレステロール値, 中性脂肪値, HDLコレステロール値およびBMI, ウエスト, 体脂肪率それぞれについて, 2年目の測定値が1年目の測定値と比べ低下している者を低下群, 上昇もしくは変化のない者を悪化・不変群の2群に分類した. そして,両群間の一般性セルフ・エフイカシー尺度 (GSES) および日本語版Health Locus of Control尺度 (JHLCS) の5つの下位尺度の得点の差を比較・検討した. その結果, GSESではすべての項目で両群間に有意差は認められなかったが, JHLCSでは血清総コレステロール値の変化において, 悪化・不変群は改善群に比べ下位尺度の“super natural”が有意に高く(P=0.045),“internal”が低い傾向 (P=0.092) にあることが明らかとなった. 以上のことから, 高脂血症有所見者のもつ健康統制所在の相違が, 保健指導後の血清脂質値の経年的変化に影響を及ぼす可能性が示唆された. したがって, 企業の健康管理においては, 保健行動に影響を及ぼすと考えられている健康統制所在を個別に把握し, 勤労者各人により適した保健指導を実践していくことが重要であると考えられた.
  • 猪又 克子
    2004 年 24 巻 1 号 p. 30-36
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究は, Newmanの健康の理論を枠組みとして, 看護介入としての自分のありようを認識する過程を外来でがんと診断されて間もない時期にいる乳がん患者と一緒に辿り, 治療に関する意思決定をしていく過程を明らかにした. また, 本看護介入をより効果的に促進するには, どのような医療的環境が求められているかを明らかにした.
    外来でがんと診断されて間もない時期にいる乳がん患者が, 自分のありようを認識していく過程には, 5つの局面が現れた. そして, 本看護介入は, 乳がんと診断された早い時期にいる患者が, 治療に関する意思決定をしていく上で役立つことが示された. さらに, そのためには患者と看護師とのパートナーシップを支える蟄かな医療的環境が重要であることが示された. そして, この医療的環境とは, 患者が自分の病気と治療について理解し, 医療者との信頼関係を結び, 自分自身を肯定できることであった.
  • 福井 小紀子, 川越 博美
    2004 年 24 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    在宅末期がん患者の家族の多くは, 満たされないケアニーズを抱えていることが多くの先行研究により明らかにされているが, これら家族を対象とした支援法の開発とその効果に関する報告はほとんどない. そこで, 本研究では, 最初に, 国内外の先行研究のレビューおよび実践家との討議を通して, 死までの経過や患者の身体・心理的ケア法を含む, 在宅において末期がん患者のケアを行う家族にとって必要な知識と技術の習得を目指した教育支援プログラムを作成した. 次に, 本プログラムの妥当性および実施可能性について尋ねる質問紙調査を29名の訪問看護師に行った. その結果, 21名の看護師 (返答率72%) からそれぞれ8.10±1.37点, 643±2.52点 (0~10点満点) の評価を得た. このことから, 本研究で作成したプログラムは一定の妥当性および実施可能性を有することが示唆され, 今後のプログラムの有効性を検討するための介入研究の必要性を確認した.
  • 大森 純子
    2004 年 24 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本概念分析の目的は, 欧米で使われているHealth Beliefの概念のわが国の保健活動の実践と研究における活用性を検討することである.
    分析の方法は, Rodgersのアプローチを用い, 論文を対象に, 主に属性, 先行因了, 帰結に関する記述についてデータ収集し, 質的に内容を分析した.
    分析の結果, 属性, 先行因子, 帰結は, 個人と社会文化的集団のものに大別され, 個人はその個人の属する社会文化的集団から影響を受けているという関係性が抽出された. 概念の属性は,「個人の健康行動を引き起こす動機」,「個人の健康と病気についての態度や考え」,「社会文化的集団の健康に関する価値や信念の体系」の3つであった. 先行因子には, 個人のもつ内的因子と個人を取り巻く外的因子, 帰結には, 個人と集団の行動的側面と保健施策的側面が抽出された.
    分析結果から, Health Beliefの概念の定義とモデルケースを案出し, わが国の保健活動の実践と研究において活用すべき概念であることが明らかとなった.
  • 矢口 久実子, 甲斐 一郎, 佐藤 みつ子, 鈴鴨 よしみ
    2004 年 24 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 喉頭摘出者用としてNottingham Adjustment Scale-Japan (NAS-J尺度)の適用可能性を検討するために, その信頼性・妥当性を検証することと, 喉頭摘出者の心理的適応構造を明らかにすることである. 視覚障害者およびパーキンソン病患者に用いられた障害受容尺度のNAS-J尺度を改変して, プロマックス回転による因子分析にて分析した. 結果, 8因子32項目で, すべての項目が1つの因子のみに一定以上の負荷量を有し, NAS-J尺度と同様の因子構造を示した. 喉頭摘出者の因子構造において,「受容」の項目が第1因子「受容a (肯定的行動レベル)」と第5因子「受容b (自身の自覚レベル)」に分かれた. 信頼性係数を求めたところ, 第8因子のローカスオブコントロール以外は0.7~0.8のα係数を得られたことから, 内的整合性が高いことが示された. 以上から, NAS-J尺度は喉頭摘出者の心理的適応尺度として使用しうることが示唆された.
  • 川野 雅資
    2004 年 24 巻 1 号 p. 60-65
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • Jean Watson
    2004 年 24 巻 1 号 p. 66-71
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    This paper will explore a model of Caring Science (Watson, J. 2004 Caring Science as Sacred Science, in print) that offers a moral and philosophical foundation of Caring for Self and Community. An expanded world-view and broad theoretical and philosophical context will be offered in which to understand the ethical and moral significance of caring for self and community. The concepts of Caritas and Communitas infuse Love into our life and work. This view will be developed through an ethical lens based upon the philosophy of Levinas (2000).“Ethics of Face” is used to convey an ethic of Other, as an obligatory ethical relationship one human to another. In“facing” our broader humanity, and ourselves we sustain and help to evolve our humanity and the deeply human dimensions of our Being and Becoming. Such a philosophical view acknowledges our human-infinity oneness and connectedness, across time, space, physicality, and culture. Within this way of understanding caring at multiple levels, Logstrup's philosophy (1997) helps us to gain an appreciation of perennial truths and wisdom traditions that remind us that we literally, morally, and metaphorically “hold another's life in our hands” (Logstrup, 1997). Our caring in a given moment in time never leaves another unaffected. In this view we explore how the nurse is not only in the environmental field of other, but becomes the energetic vibrational environmental field for Caring for Self and Other (Quinn, 1992). This Caring Science model of self and community arises from deep ethical truths related to Caritas/Love and Communitas/Connectedness, as a relational moral way of Being and Becoming more human and humane.
  • 大西 和子, 村嶋 幸代
    2004 年 24 巻 1 号 p. 72-80
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • 太田 喜久子, 前川 厚子
    2004 年 24 巻 1 号 p. 81-89
    発行日: 2004/04/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
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