日本看護科学会誌
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子どもの死と死後の世界観: 解釈学的現象学を用いて
相良-ローゼマイヤー みはる
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2004 年 24 巻 4 号 p. 13-21

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抄録

本稿では, 子どもの死の概念研究領域で偏重されているピアジェの認知アプローチを用いずに, 解釈学的現象学 (interpretive phenomenology) の見地から日本の学童がどのように生と死を把握しているのかを明らかにすることを目的として実施された研究の結果のうち, 特に子どもたちの死と死後の世界観に焦点を絞って報告する. 健康な16人の7歳から12歳までの日本の学童 (女子7名・男子9名, 平均年齢8.9歳, 公立小学校生1名・キリスト教系小学校生15名) にお絵かきを含むインタビューを3回実施した. その結果, 子どもたちは日本社会の汎神論信仰を反映して, さまざまな宗教観を融合させたユニークな死と死後の世界観をもっていることが判明した. 子どもたちは生から死後までの包括的な考えを抱いているが, 子どもたちはこの流れを2タイプ, すなわち直線的あるいは循環性のもの, に分けて把握していた. またそのどちらの場合でもキリスト教の神の存在が鍵となっていることが判明した.

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