2005 年 25 巻 3 号 p. 75
外科的小手術 (以下, 小手術) を受けた子どもの退院後の心理的混乱についての実態把握および関連要因の探索を目的とし, 小手術が決定した幼児期後期の子どもとその母親 24 組を対象に調査を実施した. 心理的混乱の測定・評価にはPost-Hospital-Behavior-Questionnaire (PHBQ) を用い, 当変数を目的変数とした重回帰分析を行った.
結果, 54.2%の子どもに心理的混乱がみられ, とりわけ『分離不安』が45.8%と高く, 「夜泣き」「癇癪」「自立性の欠如」等の症状が顕著であった. また, 心理的混乱の関連因子として, 「入院の趣旨に対する理解 (β=-0.591, p<0.001)」「病気に対する自覚 (β=ー0.317, p<0.01)」「服従的な親子関係 (β=0.250, p<0.05)」が抽出され, 病気や入院・手術に対する子どもなりの自覚や理解を医療者と家族が協働して促すこと, 「親子関係」については事前にアセスメントを行い個別に注意を払うこと, の必要性が示唆された.