2024 年 2 巻 p. 10-16
目的:看護学生に対するVR認知症体験および高齢者疑似体験を組み込んだ授業設計の有効性について,日本語版Fraboniエイジズム尺度短縮版(以下FSA)を用いて検証すること.
方法:2020年,看護学専攻2年次78人を対象に,高齢者の生活を支える看護として,排泄,食事,清潔・衣生活,歩行・移動,活動・休息についての座学授業の後,VR認知症体験および高齢者疑似体験授業を実施した.対象学生が自己評価した授業開始時と体験後のFSA得点を後方視的に収集し,Mann-Whitney U検定を用いて比較検討した.
結果:FSA総得点,下位因子である「嫌悪・差別」「回避」は,有意差は認められなかった.「誹謗」得点は,体験後に有意に低下した(P = .01).
結論:VR認知症体験および高齢者疑似体験を組み込んだ授業設計は,看護学生が高齢者を看護する際の対象理解に役立ち,エイジズムの低減に効果的であった.