におい・かおり環境学会誌
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研究論文
香りのパルス刺激に対する嗅覚の時間特性の測定とモデル化
門脇 亜美佐藤 淳太坂内 祐一岡田 謙一
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2008 年 39 巻 1 号 p. 36-43

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抄録

バーチャルリアリティ(VR)やマルチメディアの分野において,映像や音声情報に香りを付加する試みが多く行われている.しかし,我々は連続的に高濃度の香りを射出していたため,香りの提示において残り香や順応効果の問題が生じ,映像・音声情報と香りの同期が困難であった.そこで,我々は香りの提示を微小時間で行うパルス刺激を用いることによって香料の少量化を実現し,これらの問題の解決を図った.
我々は,香りのパルス刺激に対して人間がどのように感じるか主観評価を行った.香りのパルス刺激に対して人間が香りを感じるまでの時間を「嗅覚の応答時間」,香りを感じている持続時間を「嗅覚の感覚持続時間」,二度の香りのパルス刺激を二度の刺激であると分離できる最小の時間間隔を「嗅覚の2点閾値」と定義し,測定した.また,測定により取得したデータをもとに,感覚強度の時間特性である「嗅覚のオフ特性モデル」の推定を行い,人が香りを感じ始めた後,香りを感じられなくなるまでの感覚量の変化を示すことができた.本モデルに基づいて香りを提示することにより,嗅覚情報の受け手に合わせて香りを提示することができ,視覚聴覚嗅覚のメディア間同期が容易になると期待される.

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© 2008 (社)におい・かおり環境協会
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