2016 年 47 巻 1 号 p. 10-16
樹木に含まれる揮発性テルペノイド成分の節足動物と微生物に対する活性について,著者らの近年の研究を中心にまとめた.節足動物については,アレロパシー物質のスクリーニングに用いるブラインシュリンプ幼生致死活性,シロアリに対する抗蟻活性,ダニ類に対する致死・忌避活性について述べた.微生物については,有害藻類に対する生育抑制活性,木材腐朽菌に対する抗菌活性について解説した.精油組成の変化が抗菌活性に与える影響や,北欧米で林業被害が深刻化しているマツノネクチタケ属に対する抗菌活性物質の探索等,近年の研究についても紹介する.