トランスジェンダー女性も働きやすい職場環境

抄録

本稿は、トランスジェンダーの職場での処遇に関する法令、判例、そこから抽出できる知見を紹介するものである。特に、経済産業省職員事件最高裁判決からは、性別適合手術を受けておらず、戸籍上の性別を変更していない者でも、できる限り、性自認に基づいて社会生活を送る利益を尊重しなければならないことや、他の職員が性別適合手術を受けていないトランスジェンダー女性を嫌がっていると決めつけずに関係調整を行うべきこと等、考え方の指針が示された。その他、これまでの下級審判例も同じ考え方を土台としている。