抄録
本研究では, コンタクト・インプロヴィゼーションを教材として導入した大学生対象の体育実技授業に関して (1) 身体スキル (2) コミュニケーション・スキルの2点から検討した。
その結果, 対象とした授業における授業記録及び受講学生へのアンケート調査から, 教材としてのC.I.には, 「重量・重力に対する理解」, 「弾み」, 「空間感覚」等の身体スキルの獲得, 他者との生身のふれあいから育まれる「呼吸をあわせる」等の身体運動を介したコミュニケーション・スキル, 及び「信頼する」, 「対話できることへの気づき, 喜び」等の自他肯定と共存意識を育む意識的なコミュニケーション・スキルの獲得が見込まれるという特性があることが明らかとなった。また, C.I.単元における学習内容として重要と捉えられる自発的即興に関して, 学習者の自発性を促すための指導言語及び環境設定を改善していく必要性が観察された。この点に関して, 本研究においては, 「おどる・つくる」活動と「みる」活動の繰り返し学習によって, 学習者の差恥心を徐々に取り除く指導法が有効であろうということが考察された。