パーソナルファイナンス研究
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中国のパーソナルファイナンスにおける人工知能(AI)の活用
李 立栄
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2020 年 7 巻 p. 25-46

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抄録

人工知能が多くの産業において今後のイノベーションの重要な鍵として大きな期待を集めているが、それを成功させるにはビッグデータの活用が前提となる。中国の人工知能を用いた与信業務の展開を可能にしているのは、我が国と比較できない程膨大なデータを有効に利用しているからである。

中国のフィンテック業界をリードするアリババグループは、ビッグデータを活用したパーソナルファイナンス分野での取り組みが注目されている。アリババグループがビッグデータを活用可能なのは、アリババの電子商取引とそのプラットフォームにおいて膨大なデータを収集・連携できることが大きく寄与している。

中国のパーソナルファイナンス分野における先進的なフィンテックのエコシステムは、電子決済情報のみならず、利用者の様々なデジタルフットプリントや取引履歴といった、物流や商流におけるパーソナルデータを取り込んでいる。彼らは人工知能を活用してリアルタイムで信用評価を行い、そのスコアリングを貸出や様々な非金融サービスに活用している。

中国のIT 企業はレガシーシステムを抱えない後発者の利益に加え、世界最大級のビッグデータの利用環境を活用してリテール金融サービスを世界最先端レベルまで高度化する可能性がある。

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© 2020 パーソナルファイナンス学会
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