パーソナルファイナンス研究
Online ISSN : 2189-9258
ISSN-L : 2189-9258
7 巻
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招待論文
  • 堂下 浩, 的場 智也
    2020 年 7 巻 p. 5-12
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー

    日本において貸金業法が2006 年に改正されて以降、ヤミ金融の事犯が表面化される機会が減ったように見受けられる。しかし、警察がヤミ金融を摘発した事件は一定の件数で推移する一方で、それら事件を伝えるマスコミの報道によると、最近のヤミ金融事犯は摘発を逃れるための巧妙さを増している。

    こうした状況下で、新型コロナ禍により世界経済は本年3 月頃から一斉に委縮し、日本の景気も一気に悪化へと転じた。マスコミも新型コロナ禍の経済状況下で違法な金融取引による被害が拡大していると報じている。

    そこで今回、新型コロナ禍における違法性の高い融資取引として、二者間ファクタリングとSNS 上の個人間融資という2つに注目して、その実態を検証した。分析結果からは、中小企業向けの二者間ファクタリングはその取引を減少させている一方で、SNS 上の個人間融資は経済活動が再開し始めた5 月以降に活発化している可能性が示唆された。

  • 趙 彤, 石田 基広, 服部 恒太
    2020 年 7 巻 p. 13-24
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー

    中国のP2P ネット金融は、ここ10 年の間、大きく成長してきた。本稿では大手P2P ネット金融プラットフォームである「人人貸」(RRD)の取引レコードを用いて、借手の非金融的属性(年齢、性別、婚姻状況など)がローン証券の成約、デフォルト及び収益に与える影響を3つの統計モデルに基づき分析した。結果として、標準的な経済学の理論に反し、統計モデルではローン証券の成約、デフォルト率と収益率に借手の非金融的属性が有意に効いていることが確認できた。これは貸手がローン証券に投資する際、借手の非金融的属性を積極的に利用していることを意味し、借手の非金融的属性が金融的属性と同じ、貸手にとっては非常に重要な借手情報である。さらに、性別、学歴、婚姻状況と勤務所在地に対する差別は合理的な統計的差別(Statistical Discrimination)に対して、年齢に対する差別は非合理的選好による差別(Taste-based Discrimination)と判別することができた。

査読付論文
  • 李 立栄
    2020 年 7 巻 p. 25-46
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー

    人工知能が多くの産業において今後のイノベーションの重要な鍵として大きな期待を集めているが、それを成功させるにはビッグデータの活用が前提となる。中国の人工知能を用いた与信業務の展開を可能にしているのは、我が国と比較できない程膨大なデータを有効に利用しているからである。

    中国のフィンテック業界をリードするアリババグループは、ビッグデータを活用したパーソナルファイナンス分野での取り組みが注目されている。アリババグループがビッグデータを活用可能なのは、アリババの電子商取引とそのプラットフォームにおいて膨大なデータを収集・連携できることが大きく寄与している。

    中国のパーソナルファイナンス分野における先進的なフィンテックのエコシステムは、電子決済情報のみならず、利用者の様々なデジタルフットプリントや取引履歴といった、物流や商流におけるパーソナルデータを取り込んでいる。彼らは人工知能を活用してリアルタイムで信用評価を行い、そのスコアリングを貸出や様々な非金融サービスに活用している。

    中国のIT 企業はレガシーシステムを抱えない後発者の利益に加え、世界最大級のビッグデータの利用環境を活用してリテール金融サービスを世界最先端レベルまで高度化する可能性がある。

  • 趙 彤, 水ノ上 智邦
    2020 年 7 巻 p. 47-65
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー

    中国のP2P ネット金融は2018 年半ばに大きな倒産ラッシュに見舞われた。その理由を説明する先行研究は、金融引き締め政策への変更、景気の悪化や規制の強化などによる外部要因説と、情報の非対称性や投資家の投資バイアスなどによる市場の失敗説に大別される。本稿は、これらの既存研究とは異なる内部要因説を提唱する。中国のP2P ネット金融は、「完全保証リスク」と「ディスクロージャーリスク」というプラットフォームの倒産に繋がる重大なリスクを抱えたまま、規模拡大を追求してきた。その原因は、P2P ネット金融プラットフォームが金融機関であり、かつIT 企業でもあるという特徴にある。その特徴により、各プラットフォームは、市場に参入した途端、「軍拡競争の囚人のジレンマ」的状況に置かれ、市場の独占を目指した規模拡大を強いられることになる。2018 年の倒産ラッシュの最大の原因は、プラットフォームが急成長を果たした原因と同一であり、これまで規模拡大によって先送りされたリスクが、外部環境の悪化をきっかけに一気に表面化したことによるものである。つまり、倒産ラッシュの発生は、急成長の時点ですでに避けられないものであった。

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編集後記
奥付
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