日本精神保健看護学会誌
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自殺未遂をして入院してきた統合失調症者に対する看護師の思いと看護援助の実際 : 自殺行為の再発予防に向けた看護援助の検討
永島 佐知子
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2006 年 15 巻 1 号 p. 11-20

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抄録

本研究の目的は、自殺未遂をして入院してきた統合失調症者に対して、精神科臨床にある看護師がどのように思い、どのような看護援助を行っているかを明らかにし、統合失調症者の自殺行為の再発予防に向けた看護援助について検討することである。方法として、過去に自殺未遂をして入院してきた統合失調症者を看護援助したことのある看護師(精神科臨床経験が5年以上の者7名)に半構成的な面接を実施し、質的帰納的に分析した。その結果、自殺未遂をして入院してきた統合失調症者に対する看護援助は、自殺行為の再発予防に直接関連する看護援助、精神科において基本となる看護援助、日常生活の援助の3つから成り立っていた。自殺行為の再発予防に直接関連する看護援助の内容は<自殺行為の振り返り><行動化しない約束><希死念慮の有無を聞く><症状コントロールのための看護援助><衝動行為の振り返り><看護援助を行うタイミングをはかる>から成り立っていた。看護援助に影響する経験は、自殺行為に接した経験、他の看護師からの自殺に関連した看護援助の学び、精神科看護師としての経験の3つから成り立っていた。看護師が持つ思いは「怖い」「難しい」「不安」「気を遣う」などであったが、それらの思いに経験が影響し、看護援助に総合的に影響していると考えられた。研究結果の内容は、統合失調症者の自殺行為の再発予防に向けた看護としてのガイドラインになるものである。これにより、精神科看護師としての経験と看護実践能力を習得するための臨床現場や教育への視点が明らかにされた。

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© 2006 一般社団法人日本精神保健看護学会
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