日本精神保健看護学会誌
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精神障害者の働く動機を支える想いと支援のあり方 : 地域共同作業所での参加観察を通して
中戸川 早苗出口 禎子
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2009 年 18 巻 1 号 p. 70-79

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抄録

本研究の目的は、精神障害者の働く動機を支える想いを明らかにし、「働くこと」に向きあう精神障害者を支えるために、必要な支援について示唆を得ることである。地域共同作業所での参加観察およびインタビューを行い、精神障害者の働く動機を支える想いについて収集したデータを質的に分析したところ、5カテゴリーが抽出された。研究参加者は、皆【今の状態から抜け出したい】という想いから「働くこと」に向き合っていた。また、趣味や楽しみを求める【生活の張り・生活の保持】により楽しく生きられる力を獲得していた。仕事を通して成功感を感じながら【自信や誇りを得る】、【人との繋がりを取り戻したい】、【自分が変わることへの期待】で自分も人の役に立つことを再認識し、周囲の人に支えられていると感じることによって、アイデンティティの揺らぎから生じる不安を抑えていた。それらは働く動機と繋がっていた。このことからアイデンティティの揺らぎを受け止め、自己へ挑戦する気持ちに繋がる経験ができるように支援する必要性が示唆された。

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© 2009 一般社団法人日本精神保健看護学会
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