2019 年 28 巻 2 号 p. 30-38
背景:英国でBuss & Perry (1992)がAggression Questionnaire (AQ)を開発し,信頼性と妥当性が検証されている.AQは日本語版攻撃性質問票として翻訳され精神疾患を有する人の使用例が散見されるが,信頼性と妥当性は未検証であった.
研究目的:治療中の精神疾患を有する人における日本語版攻撃性質問票の信頼性と妥当性の検証を行う.
対象と方法:入院中の精神疾患を有する成人を対象とし再テスト法を行った.新版不安尺度STAIと日本語版攻撃性質問票を併せ,併存的妥当性の検証を行った.分析はSPSS Ver.25を使用した.
結果:有効回答115名を分析対象(有効回答率66.09%)とした.日本語版攻撃性質問票のt検定で,再テストによる有意差はなかった.クロンバックのα係数は,0.91であった.各尺度間には1%未満の強い正の相関があった(r=0.45, p<0.01).
考察:日本語版攻撃性質問票のα係数が0.70以上あるため内的一貫性が,尺度間に正の相関があるため併存的妥当性がそれぞれあると考えられる.
結論:治療中の精神疾患を有する人において,日本語版攻撃性質問票の信頼性と妥当性が検証された.