日本精神保健看護学会誌
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原著
利用者の意思決定を大切にしながらも生活習慣の改善に向けた精神科訪問看護師の関わりのプロセス
松本 陽子木村 幸生
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2021 年 30 巻 2 号 p. 29-38

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抄録

本研究の目的は,生活習慣病発症および重症化リスクの高い精神科訪問看護利用者の意思決定を大切にしながらも生活習慣の改善に向けた精神科訪問看護師の関わりのプロセスを明らかにすることである.8名の看護師を対象に半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した結果,14概念,6カテゴリーが生成された.看護師は利用者に対して【看護師から見た生活上の気がかりを発信】し【利用者の生活習慣改善に対する意識の継続を後押し】していた.一方で【意識づけから実行継続へ進まないことに妥協】し,継続困難を【生きづらさとして理解】して【精神の安定が最優先】という認識で【その人らしい回復への見守り】をしていた.つまり,利用者の意思決定を大切にしながらも生活習慣の改善に向けた関わりとは,生活習慣の改善が進みにくいということを障害特性や生きづらさとして理解した上で精神の安定を最優先に考え,生活者としてその人らしく回復できるよう見守り,段階的かつ継続的に支援していくプロセスであると考えられる.

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© 2021 日本精神保健看護学会
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