本研究の目的は,ピアサポーターが地域移行支援において支援対象者のリカバリーのために大切にしたいことを明らかにすることである.対象は,ピアサポーター養成講座を受け,地域移行支援に携わった経験のあるA県内のピアサポーター7名で,半構造化面接を実施し質的記述的に分析した.その結果,【安心して話せる人になる】【希望を実現する意思の力を作っていく】【社会の変化まで願う】【大らかに構え長い目で支援を続ける】【看護師と協働でリカバリーの多様性を支える】【支え合いを常に忘れないでいる】の6カテゴリーが生成された.
ピアサポーターは,リカバリー支援のプロセスを支える安心して話せる関係性と,安心して話せる関係性を支える大らかな姿勢をもつことを大切にしていると考えられた.看護師は,リカバリーを応援する社会のあり方に関心を持ち,ピアサポーターからリカバリーの多様性やリカバリーを支える姿勢を学んでいく必要がある.同時に,ピアサポーターと支援対象者の関係性構築の支援や,両者との支え合いという協働の役割が期待される.