有効な政策決定のためには政策の固有性を把握しその特質に応じた決定過程を論ずる必要がある。本研究は高度な専門性を持った政策として科学技術政策を取り上げ,情報の認知やフローの視点から,政策決定者の行動様式を探ったものである。その結果我が国の官僚制システムの閉鎖性と,専門的課題を取り扱う際の限界性が改めて指摘された。そこでその欠陥を補うべき政府の助言機関,つまり審議会における意思決定のメカニズムを調べてみた結果,そこでは「体化された情報」としての人の「共有化」による情報や意思の伝達が頻繁に行われていることが示された。この「人の共有化」による意思決定,合意形成のメカニズムは,擬制的な平坦型システムを創出し,また意識的な‘民主性’をもたらすという効果をもつものであり,専門的で高度な政策領域における民主的な政策決定の意味を問い直すものである。