応用統計学
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研究ノート
計画上の分散分析モデルと多項式モデル
今井 大樹青木 敏
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2020 年 49 巻 3 号 p. 127-154

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抄録

複数の多水準因子の一部実施計画上で,繰り返しのない応答が観測されるという状況を考える.この設定において,応答関数を多項式で表現し,その母数の識別可能性を多項式環のグレブナー基底の理論により特徴付けることができる.これは,計算代数統計における古典的な話題のひとつである(Pistone and Wynn (1996)).この方法論では,実験計画法の理論において重要な,因子の交絡の概念を,計画上でゼロとなる多項式の集合(計画イデアル)へのイデアル所属の問題として定式化する.この考え方により,従来,2水準,3水準のレギュラーな一部実施計画について考えられることが多かった,交絡,分解能などの概念を,任意の計画に対する概念として一般化することができる.本稿では,この計算代数的な方法論にもとづき,計画上の分散分析モデル(ANOVAモデル)と多項式モデルの関係を明らかにする.通常ANOVAモデルは,繰り返し数の均一な多元配置の設定で考えることが多く,特に水準がすべて2水準の計画では,ANOVAモデルは多項式モデルと等価である.一方,水準数が一般の設定では,両者の対応は必ずしも明らかではない.本稿では一部実施計画を繰り返し数が不揃いな(ゼロを含む)多元配置と見て,一般的にANOVAモデルを定義する.また,ANOVAモデルと多項式モデルを関連付ける方法を提案し,計算代数統計の理論をANOVAモデルに適用する方法論を提案する.

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© 2020 応用統計学会
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