教授学習心理学研究
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「事例にもとづく帰納学習」だけで事例効果を説明できるのか?
-工藤(2003)の研究の批判的検討-
伏見 陽児
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キーワード: ルール学習, 事例効果
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2014 年 10 巻 2 号 p. 58-66

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抄録
工藤(2003)は、学習ルールの説明に用いられる事例によって学習効果が異なるという現象(事例効果)の新たな説明を検討し、多くの学習者が教材からルールを抽出できないという事実から、事例効果が「事例にもとづく帰納学習」によって説明できることを示した。本研究は工藤(2003)の研究において残された問題を検討する目的で行ったものである。学習者は、サクランボ事例もしくはスギ事例を使って、「どんな花の花粉でも、身体に入れば入るほど花粉症が引き起こされやすくなる」という花粉症のルールを明示的に教えられた。実験の結果、学習者がルールを抽出できなかった場合だけでなく、ルールを抽出できた場合でも「事例効果」が生じた。事例効果は、「事例にもとづく帰納学習」だけでは説明のつかないことが明らかとなった。
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© 2014 日本教授学習心理学会
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