教授学習心理学研究
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低学年児童を対象とした単元間を関連づける指導法の効果に関する研究
吉國 秀人黒岩 督小倉 誠
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2016 年 12 巻 2 号 p. 63-80

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抄録
本研究の目的は,小学校低学年における授業実践を通して,単元間を関連づける指導法の効果を明らかにすることである。小学校生活科カリキュラムを取り上げ,「恐竜」の形と暮らしと「動物」の形と暮らしという2つの教授プログラムの関連づけを強めるために,食う・食われるの世界(食物連鎖)の意味づけを取り入れた教授法の効果を検証した。分析対象者は,小学1年生20名であった。実践は,4つの調査と,3つの教授プログラムから構成されていた。「動物」の授業の後半部分に,関連づけを意図した工夫が取り入れられていた。関連づけを含む授業後に実施した調査結果より,「動物」の形と暮らし及び「恐竜」の形と暮らしに関する4つの設問の完全正答者が65%にまで増加して見られた。また授業記録からも,「動物」が繰り広げている食う・食われるの世界(食物連鎖)が「恐竜」においても成立していたのではないかと,予想していると伺える学習者の存在が確認された。本研究で取り上げた「恐竜」の形と暮らしと「動物」の形と暮らしという異なるプログラム間の関連づけを意図した教授の効果が示唆された。
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© 2016 日本教授学習心理学会
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