教授学習心理学研究
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面積の微分を視る教授学習過程
授業内容の構想とその効果
梶原 郁郎
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2017 年 13 巻 1 号 p. 36-47

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抄録
本稿は,面積の微分を視る授業内容による教授学習過程の効果を報告している。本授業内容では「y=2x」「x2」「(x+1)(x+2)」を取り上げて,面積図を用いた次の思考手続きで微分の直観的理解の保障を指向している。(1)2xの面積図(縦2・横x)において⊿xをxの延長線上にとる。(2)その場合,⊿y(面積の増加分)は面積図のどこになるか(⊿yの出どころ)。(3)⊿xを0に近づけていくと,⊿yは最終的にどこになるか。このように頭の中で面積図を操作すれば,「x2」「(x+1)(x+2)」の場合も同様に,瞬間の増加率(微分)を視ることができる。本授業内容による実践の結果,「2x」「x2」の微分の数式操作はできるが意味理解が欠落している事前質問の状況は大きく改善され,事後質問において微分を直観できた生徒は,授業内容の事例と類似性の大きい「5x」と「x(x+2)」 問題において正答者35名(95%)と37名(100%),類似性の小さい「πx2」問題において正答者36名(97%)であった。これらの事前事後質問の結果を含めて,本授業内容による教授学習過程の効果を本稿は報告している。
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© 2017 日本教授学習心理学会
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