教授学習心理学研究
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数学授業での協同過程における解法の関連性の検討を通じた個人の知識の関連づけの促進
一次関数を用いた事象の数理的考察に焦点を当てて
小田切 歩渡部 優貴
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2017 年 13 巻 2 号 p. 68-84

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抄録

本研究では,中学校の数学授業での協同過程において,解法の関連性の検討を集団的に行うことによる,知識の関連づけの促進について検討した。事象の変化を一次関数によって捉える根拠の明確化に焦点を当て,一次関数を用いた事象の数理的考察に関する問題解決過程を,事前課題-授業(関連性の検討を行う協同過程,妥当性の検討を行う協同過程,教師による関連性の解説の3クラス)-事後課題のデザインで検討した。分析の結果,2つの協同過程ではともに,妥当性の検討による一次関数的変化の根拠の明確化に関するやりとりと,関連性の検討による変化の割合とグラフの傾きの関連に関するやりとりが,それぞれ自発的に行われ,そのような協同過程において,一次関数的変化を前提としていた生徒が,変化の割合とグラフの傾きを事象に即して解釈して関連づける説明構築が促されることで,事象の変化を一次関数によって捉える根拠を明確化するようになるという変化がみられた。さらに,関連性の検討では,もともと変化の割合やグラフの傾きを解釈できていなかった生徒が,解釈できるようになるという変化もみられ,協同過程における解法の関連性の検討の有効性が示唆された。

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© 2017 日本教授学習心理学会
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