抄録
フィールド科学と質的方法論の開拓者であるKJ 法創始者の川喜田二郎さん(1920- )にインタビューをし,現場の語り口を生かして要点をまとめた。KJ 法の発想の原点には,今西学派の特徴である未知への冒険精神と,生きた世界に実践的に関与しながら認識するという根本姿勢があった。方法論の基本的特徴には,次の6 点があげられた。1)現場取材と創造的総合の二つからなるフィールド科学。2)ありのままのデータからボトムアップで認識する方法論。3)フィールドノートではなくカード記述によって自由で多様な組み合せの可能性。4)意味を重視した文章見出しの多段階使用。5)雑多なデータを図解化によって統合。6)図解化と言語化による提示と衆目評価による合意形成。