質的心理学研究
Online ISSN : 2435-7065
若年労働者のパーソナリティ特性表現に関する共通性と独自性
職場における活躍と伸び悩みに着眼して
鈴木 智之池尻 良平池田 めぐみ山内 祐平
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2021 年 20 巻 1 号 p. 7-31

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抄録

本研究は,職場での若年労働者のパーソナリティを通した人物理解という社会課題に立脚し,広範なパーソナ リティに関するビッグファイブ研究の理論的蓄積を踏まえて,職場での活躍と伸び悩みというコンテキストにお ける若年労働者のパーソナリティ特性表現を探索するものである。具体的には,以下の二つのリサーチクエスチョ ンへの検討を目的にした。第一に,若年労働者において,5 因子の構造が得られるか,というものであり,これ を共通性の確認とした。第二に,若年労働者のパーソナリティ特性を記述する上で,5 因子に追加すべき項目は 何か,というもので,これを独自性の探索とした。方法として,日本国内大手民間企業 6 社に所属する 22 名への インタビューを行った。結果として,249 個のパーソナリティ特性表現を抽出した。代表的な尺度と比較を行っ た結果,TIPI– J に 104 個,主要 5 因子性格検査に 139 個,FFPQ– 50 に 119 個,BFS に 144 個,日本版 NEO–PI–Rに 151 個該当し,5 因子全てへの該当が見られ,共通性が確認された。それらの既存尺度には含まれないパーソナリティ特性表現が 69 個見られ,独自性が存在することが確認された。以上から,上述のコンテキストにおける 若年労働者のパーソナリティ理解について,ビッグファイブの既存尺度だけでなく,独自性を含めた概念が必要 であることを示唆した。

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© 2021 日本質的心理学会
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