第四紀研究
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原著論文
ネパール・カトマンズ盆地の更新統ゴカルナ層からの急速な湖水準の低下を示す堆積物の発見とその湖成段丘形成への意義
酒井 哲弥高川 智博ガジュレル アナンタ田端 英雄大井 信夫ウプレティ ビシャール
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2006 年 45 巻 2 号 p. 99-112

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抄録
カトマンズ盆地の更新統, ゴカルナ層から急速な湖水準の低下を示す堆積物が見つかった. その堆積物は, ゴカルナ層中に広く追跡可能な侵食面に沿って認められ, 次のような堆積物の特徴をもつ. (1) 低角の平板型斜交層理 (傾斜およそ10°) が見られ, 他のものに比べて粗粒な堆積物からなるデルタフロント堆積物で, そのトップの高さが前進方向に向かって低くなる. (2) アンティデューン斜交葉理の見られる砂層が, デルタフロント堆積物の前進が停止した部分で, 指交関係になっている. (3) 上記の堆積物が見られた地点のさらに盆地の中心方向で, 深さおよそ5mの下位層の削り込みが認められ, その内部をコンボリュート葉理の発達した砂層が埋積している.
上記の (1) の堆積は, 湖水準の低下の初期に, 河川が下位の堆積物を削ることで堆積物運搬量が増加, 速いデルタフロントの前進が引き起こされることで形成されたと解釈される. さらなる湖水準の低下にともなって, このデルタは地表に露出した. アンティデューン斜交葉理の存在から, このデルタフロント部分からさらに水位が下がるときには, 流速条件が大きかったことが読める. そして, これ以前のデルタが累積することで, すでに水中に存在していた地形的な高まりのトップよりも, さらに水位が低下するときに削り込みが形成され, その直後にこの削り込みは堆積物によって埋積された.
この急速な湖水準の低下は, 盆地からの唯一の河川の流出口の峡谷付近で, 湖の形成に寄与していた地滑りなどによって形成されたプラグが崩壊することで起きたものと解釈される. 段丘堆積物の累積を引き起こした湖の水位の上昇は, このプラグが形成されたことにともなうものと推測される.
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© 2006 日本第四紀学会
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