第四紀研究
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特集「津波堆積物と地震性タービダイド:防災・減災のための堆積物記録の理解」
津波による土砂・ブロック移動モデルの現状と課題
後藤 和久今村 文彦
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2007 年 46 巻 6 号 p. 463-475

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抄録

津波に伴う土砂移動現象は,海岸の地形変化や海洋・沿岸生態系の破壊などの重大な問題を引き起こす.本論では,海岸工学の分野で開発・改良されてきた津波による土砂,ブロック移動の数値モデルの現状と課題の整理を行い,堆積学的研究との連携について考察した.これらの数値モデルは,まだ課題は多いものの水槽実験結果を比較的良好に再現できており,実スケールの現象に適用できる段階に達しつつある.今後,混合粒径や複数岩塊移動などに対応できるようモデルを拡張すれば,津波堆積物や津波石を用いて,過去に発生した津波の流体力や流速などの水理量をより定量的に評価できるようになると考えられる.また,土砂移動モデルを利用することで,海底での侵食・堆積量を評価することが可能であり,津波堆積物を発見することを目的とした海底掘削地点の選定にも役立つと考えられる.

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© 2007 日本第四紀学会
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