2008 年 47 巻 2 号 p. 93-99
大阪層群最下部層の朝代テフラ層は,淡路島や古琵琶湖層群,氷見層群,飯能礫層などに挟在するテフラ層と広く対比されている.一方,新潟地域中央油帯の西山層のTzwテフラ層は,西山油帯,佐渡島,それに北蒲原地域からも見出されている.今回,この両テフラ層の対比を検討した.両テフラ層は広域テフラ層である土生滝I—MT2—Arg-2テフラ層よりも上位にあり,古地磁気層序におけるガウス・マツヤマ境界よりも下位にある.また,記載岩石学的特徴も類似する.火山ガラスの化学組成は,中央日本に分布するテフラとしてはともにTiO2やMgOがやや高い値を示し,ほかの酸化物含有量についても酷似する.以上のことから,両テフラ層は対比される.その年代については,北蒲原地域の古地磁気層序や微化石年代層序との関係などから,2.6 Maないしそれよりやや古い年代が想定される.今後,この朝代-Tzwテフラ層はガウスクロノゾーン最上部を示す広域テフラ層として,その活用が期待される.