第四紀研究
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47 巻 , 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
論説
  • 吉田 明弘, 長橋 良隆, 竹内 貞子
    2008 年 47 巻 2 号 p. 71-80
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    福島県の駒止湿原水無谷地から得られたボーリングコアの14C年代測定とテフラ分析,花粉分析の結果から,約4万年前以降の湿原の形成過程および古環境の変遷について考察した.この湿原は,スギ属,コナラ亜属,ブナ属を伴う亜寒帯性針葉樹林が分布する寒冷気候のもとで,約4万年前から泥炭の形成を開始した.その後,最終氷期極相期には一部の泥炭を残して削剥され,約1.85万年前には再び泥炭の堆積が開始された.湿原周辺では,約1.85~1.64万年前には冷涼気候のもとでカバノキ属と亜寒帯性針葉樹の混交林となった.約1.64~1.56万年前には温暖化により冷温帯性落葉広葉樹林となったが,約1.56~1.43万年前には再びカバノキ属の森林となった.この寒冷化は,北大西洋地域におけるYounger Dryas期のそれに対応する.約1.24万年前以降には,温暖気候のもとでブナ属やコナラ亜属を主とする冷温帯性落葉広葉樹林となり,約1,300年前以降にはスギ林が拡大した.
  • 張 穎奇, 河村 善也, 蔡 保全
    2008 年 47 巻 2 号 p. 81-92
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    小長梁遺跡は前期更新世の人工遺物を出土する遺跡として重要であるが,その遺物包含層と同一層準から採取した大量の堆積物を細かい目の篩で水洗して,多くの小型哺乳類化石を得た.遺物包含層の年代は古地磁気測定により1.36 Maとされている.小型哺乳類は生層序の研究や古環境復元に重要であるが,この遺跡ではこれまで小型哺乳類化石はほとんど採集されてこなかった.今回は得られた化石をもとに,この遺跡の小型哺乳類の動物群の特徴を明らかにし,それを近隣の地域にあって古地磁気層序や放射年代が明確な4つの化石産地の動物群と比較した.それらにもとづいて,後期鮮新世とそれ以降の時期の地層における小型哺乳類の生層序と,それらの時期の小型哺乳類の動物相の変遷について論議した.変遷については,絶滅種が卓越する後期鮮新世から前期更新世にかけての中国北部の動物相が1.66 Maと1.36 Maの間に現生種(カヤネズミ)の出現により若干変化したあと,1.36 Maと0.6 Maの間には多くの絶滅種が見られなくなる一方で,現生種が数多く出現するという大きな変化があったと考えられる.さらに,この遺跡周辺の前期更新世の古環境については,温帯の気候で,湖の近くにまばらに灌木の生えた草原という環境が推定された.
短報
  • 黒川 勝己, 長橋 良隆, 吉川 周作, 里口 保文
    2008 年 47 巻 2 号 p. 93-99
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    大阪層群最下部層の朝代テフラ層は,淡路島や古琵琶湖層群,氷見層群,飯能礫層などに挟在するテフラ層と広く対比されている.一方,新潟地域中央油帯の西山層のTzwテフラ層は,西山油帯,佐渡島,それに北蒲原地域からも見出されている.今回,この両テフラ層の対比を検討した.両テフラ層は広域テフラ層である土生滝I—MT2—Arg-2テフラ層よりも上位にあり,古地磁気層序におけるガウス・マツヤマ境界よりも下位にある.また,記載岩石学的特徴も類似する.火山ガラスの化学組成は,中央日本に分布するテフラとしてはともにTiO2やMgOがやや高い値を示し,ほかの酸化物含有量についても酷似する.以上のことから,両テフラ層は対比される.その年代については,北蒲原地域の古地磁気層序や微化石年代層序との関係などから,2.6 Maないしそれよりやや古い年代が想定される.今後,この朝代-Tzwテフラ層はガウスクロノゾーン最上部を示す広域テフラ層として,その活用が期待される.
特集 2005年度日本第四紀学会シンポジウム「大都市圏の地盤—私たちの生活とのかかわり—」(その1)
  • 木村 克己, 水野 清秀, 奥村 晃史
    2008 年 47 巻 2 号 p. 101-102
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 毅彦, 村田 昌則, 大石 雅之, 山崎 晴雄, 中山 俊雄, 川島 眞一, 川合 将文
    2008 年 47 巻 2 号 p. 103-199
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    立川断層の活動史を明らかにするため,4本のコアと狭山丘陵を調査した.狭山丘陵に産出するテフラSGOはMTB1・武蔵村山コア中のテフラに対比される可能性があり,同じくSYG(1.7 Ma)はMTB1・武蔵村山コア中のテフラに,箱根ヶ崎テフラ群(約2.0 Ma)は武蔵村山・MTB2コア中のテフラに対比された.また,Ebs-Fukuda(1.75 Ma)がMTB1コア中に,Kd44(1.968~1.781 Ma)が武蔵村山・瑞穂コア中に,Tmg-R4(2.0 Ma)がMTB2コア中に検出された.三ツ木地区においては,SYG層準が約126mの北東側隆起の変位を受けている.SYGと箱根ヶ崎テフラ群の変位量には累積はなく,立川断層は2.0~1.7 Maの間は活動していなかった.断層は南東・北西セグメントからなる.従来,地下でのみ認定された瑞穂断層は北西セグメント南東部であり,両セグメントは約1.5kmの区間を並走している.南東セグメント内では北西端部ほど累積変位量が小さいが,並走する北西セグメントの累積変位量を加味すれば,断層全体では南東セグメント北西端で累積変位量は急減しない.
  • 稲崎 富士
    2008 年 47 巻 2 号 p. 121-138
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2009/04/25
    ジャーナル フリー
    大都市圏では膨大なボーリングデータ・土質試験データが蓄積されてきている.これらのデータは,地質構造の復元および堆積物物性の評価を試みる研究者にとってきわめて魅力的に映る.しかし,それらがどの程度活用できるのかについては,充分に明らかにされてきたとは言い難い.そこで,堆積環境が明らかにされつつある関東平野南部および濃尾平野湾岸域において,高精度で測定されたS波速度(Vs)データを収集し,それを外的指標として同一深度で実施された原位置試験,土質試験データと比較した.
    その結果,Vsが層相および堆積環境の評価指標として有用であること,さらに土質試験データの信頼性・品質の評価にも利用できることがわかった.一方,標準貫入試験で得られるN値はばらつきが大きく,堆積物物性の対比指標としては慎重に使用すべきである.また,含水比や間隙比など変数間の比で定義される物性値も適当ではない.これに対し,含水率や湿潤密度,固相体積率(間隙率の補数)はVs値ともよい相関性を示し,堆積環境指標として有用な物性情報であるということができる.
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