第四紀研究
Online ISSN : 1881-8129
Print ISSN : 0418-2642
ISSN-L : 0418-2642
「更新世・完新世の資源環境と人類」特集号
上部旧石器時代における中部高地黒曜石原産地の土地利用変化
島田 和高
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 54 巻 5 号 p. 219-234

詳細
抄録

上部旧石器時代における中部高地産黒曜石利用に関する研究は,関東平野部など居住地での消費過程に焦点を当てることが多く,中部高地原産地における人類活動の実態と歴史的変遷については十分に議論されていない.本論は,中部高地原産地における上部旧石器集団による土地利用の歴史的変遷を復元する.そのために,以下の三種類の編年を構築ないし援用する.1)中部高地石器群の上部旧石器編年からみた石器群分布の変化,2)黒曜石産地分析のデータベースに基づく中部・関東地方全域における産地別黒曜石利用の変動,3)中部高地の古気候・古植生編年.これらの相関を比較検討した結果,36,000calBP以降の最終氷期における中部高地原産地土地利用の歴史的変遷には,気候要因により隠匿された見かけの遺跡分布や土地利用への規制が生じていることに加え,文化的・社会的な適応による土地利用の変化が認められた.

著者関連情報
© 2015 日本第四紀学会
前の記事 次の記事
feedback
Top