第四紀研究
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「ジオパーク活動の新たな展開:考古学・人類学・土壌学の視点から」特集号
人類-資源環境のダイナミクスから見る旧石器時代研究とジオパーク
小野 昭
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2017 年 56 巻 3 号 p. 89-95

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抄録

考古学一般ではなく,旧石器時代研究に視角を限定してジオパークとの関係を議論した.人類と資源環境の関係の仕方は過去さまざまな段階と特徴があるが,第二次世界大戦後の開発が人類の出現以来最も特異であり,地球全体がもはや劣化しない無限の自然ではなく,有限の価値物に転化したという認識を世界で共有するに至らしめた.こうした状況下で,旧石器時代研究がジオパークの運動と連携する意義を,1)地学的なプロセスの一環として旧石器時代的な現象を理解すること,2)対象が生物であればその再生産のサイクルの範囲内における資源環境の調和的開発の端緒として理解することの2点に求めた.また旧石器時代研究がジオパークに貢献可能であるとすれば,1)自然史と人類史(社会史)の接点の特徴を明らかにしうること,2)空間的に限定されたジオパークを,日本列島全体の広がり,ユーラシア的広がりの階層構造で理解することに資する点に求めた.

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© 2017 日本第四紀学会
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