第四紀研究
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56 巻 , 3 号
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「ジオパーク活動の新たな展開:考古学・人類学・土壌学の視点から」特集号
  • 橋詰 潤
    2017 年 56 巻 3 号 p. 63-66
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/08/03
    ジャーナル フリー
  • 目代 邦康
    2017 年 56 巻 3 号 p. 67-79
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/08/03
    ジャーナル フリー

    日本では2008年からジオパーク活動が急速に広がっていったが,ジオパーク活動の目的の一つである地質遺産の保全は十分に行われてこなかった.地球科学の分野において地質遺産の保全に関する議論は十分とはいえず,各地で実践を進める際に学術情報の提供などは不十分であった.日本第四紀学会は,遺跡や地形,露頭の保護・保全に関する取り組みを重ねてきた歴史があり,学会としてその意義を認識している.地質遺産の保全に関して議論を深めることは,持続可能な発展に対する地球科学の貢献の一つである.多元的かつ学際的な第四紀学の特性を活かして,今後,地質遺産の保全についての議論の場を作り出していく必要がある.

  • 植木 岳雪
    2017 年 56 巻 3 号 p. 81-88
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/08/03
    ジャーナル フリー

    NPO法人日本ジオパークネットワーク(JGN)と各ジオパークのウェブサイトから,日本のジオパークにおける地形・地質と第四紀に関する内容を分析した.その結果,地形を除いて,第四紀学的な内容のカテゴリー(第四系,土壌,考古,人類)の割合が小さいことが明らかになった.また,地形についても,第四紀学的な記述がなされていないことが多かった.各ジオパークで第四紀学的な内容を増やすためには,どこにでもあるあたりまえの地形,土壌,表層地質に関するジオサイトを発掘することが必要である.また,既存のジオサイトに第四紀学的な見方を取り入れることも必要である.そうすれば,各ジオパークにおいて第四紀に起こった現象の多様性,すなわち第四紀多様性という概念が確立されて,地域の持続的発展に資することになるだろう.

  • 小野 昭
    2017 年 56 巻 3 号 p. 89-95
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/08/03
    ジャーナル フリー

    考古学一般ではなく,旧石器時代研究に視角を限定してジオパークとの関係を議論した.人類と資源環境の関係の仕方は過去さまざまな段階と特徴があるが,第二次世界大戦後の開発が人類の出現以来最も特異であり,地球全体がもはや劣化しない無限の自然ではなく,有限の価値物に転化したという認識を世界で共有するに至らしめた.こうした状況下で,旧石器時代研究がジオパークの運動と連携する意義を,1)地学的なプロセスの一環として旧石器時代的な現象を理解すること,2)対象が生物であればその再生産のサイクルの範囲内における資源環境の調和的開発の端緒として理解することの2点に求めた.また旧石器時代研究がジオパークに貢献可能であるとすれば,1)自然史と人類史(社会史)の接点の特徴を明らかにしうること,2)空間的に限定されたジオパークを,日本列島全体の広がり,ユーラシア的広がりの階層構造で理解することに資する点に求めた.

  • 北條 芳隆
    2017 年 56 巻 3 号 p. 97-110
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/08/03
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    地理的情報処理技術の進展と天文考古学の導入によって,太陽の運行を見据えながら夏至の日の出に軸線を合わせた祭儀施設の存在や,火山の頂上に軸線を定める前方後円(方)墳の存在が指摘できる.これら新知見をふまえると,日本の古代社会は太陽信仰と火山信仰に依拠したことがわかる.このような遺跡と周辺景観の関係を重視する考古学の見方は,ジオパークの今後の展開にあたっても充分に活用可能である.

  • 赤塚 弘美
    2017 年 56 巻 3 号 p. 111-119
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/08/03
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    千葉県銚子市では,平成24年(2012)9月に千葉県初の日本ジオパークに認定された.このジオパークでは,地質資源,考古学的・生態学的・文化的な価値のある対象をサイトとして活用し,「教育」「保全」「地域振興」を3つの活動の柱として位置づけている.このジオパークにおける各サイトは,文化財行政が扱う「文化財」として捉えることができると考えている.

    本市のジオパーク活動には,開始時から文化財保護行政部局が担当として携わる中で,平成26年度(2014)から始まった余山貝塚の発掘調査を通して,遺跡の保護と活用を図る上で,ジオパーク活動と連携することで非常に大きな効果を得られる可能性を感じており,環境整備に努めていく必要がある.

  • 藤田 祐樹
    2017 年 56 巻 3 号 p. 121-129
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/08/03
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    沖縄の旧石器時代遺跡からは,国内はもとより,東アジア地域で希少な人骨が発見されている.琉球列島に広く分布する石灰岩が骨の保存に適しているためと考えられており,また,近年の調査では,石灰岩鍾乳洞を旧石器人が生活の場や埋葬の場として利用していたことも明らかになりつつある.さらに,そうした調査で明らかになった旧石器人の暮らしぶりは,海産貝を素材として多様な道具や装飾品を作り上げ,淡水産のモクズガニやカワニナなどの水産資源を利用するなど,島環境に適応したと捉えられるものだった.こうした調査研究成果をうけて,近年,沖縄島南部の旧石器時代遺跡では,遺跡の保全・活用の体制が進展している.本稿では,そうした現状を報告し,ジオパーク的視点からの活用の今後の展望について検討する.

  • 高橋 巧
    2017 年 56 巻 3 号 p. 131-136
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/08/03
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    沖縄本島にある「ガンガラーの谷」では,自然と古代からの人間の痕跡をテーマにしたガイドツアーが毎日実施され,現在年間約10万人(2017年3月時点)のツアー参加者数を有している.ここではジオパーク的な資源を有効に活用しつつ,人気を博している「ガンガラーの谷」ガイドツアーの企画の考え方について述べており,ポイントとして下記2点を挙げている.一つ目は,ツアーのストーリー・演出がエンターテインメント的な観点で設定されていること.二つ目は,事業として継続するためにマーケティング的な視点を取り入れたビジネスモデルの構築と,プロモーション活動を行っていること.なお,本稿は2016年6月に開催された「考古学,人類学,土壌学とジオパークに関する公開シンポジウム」での事例発表に加筆をしたものである.

  • 浅野 眞希
    2017 年 56 巻 3 号 p. 137-143
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/08/03
    ジャーナル フリー

    日本のジオパーク活動において,大地の変遷と生物・人間の営みを関連付けるために,土壌学的知見の重要性を論じた.ジオパークの構成要素として土壌を認識するためには,土壌を①地域環境の相互作用の結果生成した固有の自然物(土壌体),②生態系の基盤として生態系サービスを提供する存在,③土壌そのものが自然物として科学的価値を持つ,という3つの視点で認識することが重要である.土壌学的知見は,具体的に大きく①ジオヘリテージとしての学術的価値の付与,②地域生態系成立の理解,③農業的伝統文化,産業とジオの関連付け,④環境教育教材として活用,に役立つと考えられた.今後,ジオパークにおけるジオ多様性と生物多様性の相互関係に関する研究の推進のために,他の地球科学分野の研究者と連携して,データを高精度化していく必要がある.

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