第四紀研究
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鳥浜貝塚出土有溝砥石の年代と形態測定学的分析
佐野 勝宏工藤 雄一郎鯵本 眞友美
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2018 年 57 巻 6 号 p. 229-237

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抄録

本稿では,鳥浜貝塚から出土した有溝砥石の年代と機能を知るため,同一層準から出土した種実遺体の14C年代測定と有溝砥石の形態測定学的分析を行った.オニグルミ内果皮の年代測定の結果,12,030~11,400calBPの年代が得られ,鳥浜貝塚の有溝砥石が更新世から完新世へ移行する時期に残されたことがわかった.また,有溝砥石の三次元スキャンデータを解析したところ,溝の形状が極めて均一であることがわかった.このような均一な溝は,棒状のものを研磨する時にしか形成されない.したがって,鳥浜貝塚出土有溝砥石も,矢柄のような棒状のものを研磨するために使用された可能性が高いことが予想された.

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© 2018 日本第四紀学会
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