第四紀研究
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三浦半島, 北武断層東端付近の完新世海成段丘
その年代・古生物・地殻変動に関する資料
太田 陽子藤森 孝俊鹿島 薫蟹江 康光松島 義章
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1994 年 33 巻 1 号 p. 37-43

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抄録

三浦半島の北武断層東端付近において, 完新世海成段丘の地形分類, 堆積物の層相観察, 貝化石の同定と年代測定, 木片などの有機物の年代測定, 珪藻分析などを行った. 完新世海成段丘は北武断層の南側では3段 (Hm 1~Hm 3面) に分類できる. Hm 1面は完新世海進高頂期を代表するもので約6,800yrs BP以降に離水, Hm 2面は約5,400yrs BP以降 (おそらく約5,000yrs BP), Hm 3面は3,100yrs BP以降にそれぞれ離水した. Hm 1面を構成する海成層の上限高度は15mである. 高度約1.5mの地点からは9,250±320yrs BPの年代が得られ, 本面の高度, 低位の段丘群の存在とともに, 本地域の急速な隆起を示す. 一方, 北武断層の北側溺れ谷の海成堆積物は約7,000年前から5,000年前まで連続的に堆積している. 外海に面する断層の南側と, 断層の北側の溺れ谷では完新世海進堆積物の離水時期が異なることが注目される.

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