第四紀研究
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亀田郷-信濃川・阿賀野川の下流低湿地における治水
五十嵐 太郎
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1996 年 35 巻 3 号 p. 247-252

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抄録

亀田郷は越後平野のほぼ中央に位置し,かつては河川の氾濫による水害常習地帯であり,その大部分が湿地帯であったので,「葦沼」と称されていた.したがって,ここでの水田の開拓と稲作作業は,すべて過酷な水との闘いであった.しかし,大河津分水の開削(1927年),阿賀野川の河川改修工事(1933年)などの治水事業により洪水の被害からのがれ,さらに栗ノ木排水機の新設(1948年)と耕地整理の完了(1956年)により,統一的な地上水の排除が可能となり,ようやく近代農業の基礎が築かれた.
ここでは,まず湿地帯すなわち「葦沼」での水田開発と「葦沼水田」の実態,ついで内外の治水対策,とくに内部治水対策,最後に耕地整理(全郷の統一的地上水排除)とこれに伴う稲作技術の対応について述べる.

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