第四紀研究
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淡路島北部における活断層の活動度の再評価
吾妻 崇
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1997 年 36 巻 1 号 p. 29-42

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抄録

淡路島北部の活断層について,空中写真(縮尺約1/10,000)の判読に基づき,変位地形の記載および活動度の再評価を行った.写真判読の結果,釜口断層と蟇浦断層を新たに認め,各断層において低断層崖や水系の屈曲がみられることを明らかにした.また,当地域の活断層を3つの断層系(淡路島東縁断層系・西縁断層系・横断断層系)に分類した.楠本断層と野田尾断層では,山麓線より平野側に低断層崖が存在する.1995年以前には野島断層に沿ってそのような低断層崖はみられず,1995年以前の活動(約2,000年前)により形成された低断層崖は侵食され消失したと考えられる.断層の活動度は,断層を横切る水系の屈曲量(D,単位m)と断層よりも上流の長さ(L,単位m)を楠本・東浦・野田尾・釜口・野島断層について調べ,関係式D=aL(松田,1975)のaの値から評価した.その結果,東縁断層系では楠本断層よりも東浦断層の方が活動度が大きいこと,西縁の野島断層の活動度は東浦断層に匹敵することが明らかになった.今回新たに認められた釜口断層bは逆向き低断層崖と考えられ,東側の海底には逆断層の存在が推定される.淡路島横断断層系では,横ずれ変位地形は認められず,西縁断層系の隆起側花崗岩類ブロックの移動に関係した逆断層的な変形が段丘面にみられる.

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