第四紀研究
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反射法地震探査と地下構造解析の重要性と問題点
横田 裕
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2000 年 39 巻 4 号 p. 357-361

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抄録

反射法地震探査が,断層あるいは変動帯を対象とする広域の地質学的調査法として認められるようになったのは,わが国では震災前の約10年間のことである.
震災後に,「活断層調査」あるいは「都市の深部地下構造調査」などで,数多くの反射法地震探査が実施されることになった.これは,地下深部構造の把握が地震動の予測・評価の上で重要であることが,震災により認識されたためである.
この探査の果たした役割は,「活断層調査」では堆積平野下の活構造の位置・形態・活動性の把握であり,また「都市の地下構造調査」では堆積層と基盤岩の深度・形状および物性値の把握などであった.本稿では,これらの調査結果の例を紹介する.
今後の課題はいくつかあるが,とりあえず重要なことは震災後に取得された観測記録の公開と保存である.これらは当初の目的とは別に,今後のさまざまな課題でも利用できる貴重なデータである.これらが公開されて多くの機関で共有されることが,これらのデータを保存し,また生かす方法であると思われる.

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