第四紀研究
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39 巻 , 4 号
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  • 岡田 篤正
    2000 年 39 巻 4 号 p. 283-288
    発行日: 2000/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
  • 地質調査所活断層研究グループ
    2000 年 39 巻 4 号 p. 289-301
    発行日: 2000/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震以降,近畿三角帯において地質調査所が調査を行った25の活断層を,松田(1990)の基準に基づいて18の起震断層に再編した.また,新たに設けた基準により,各起震断層を1~5つの活動セグメントに区分した.
    活動履歴調査により明らかにされた各活動セグメントの古地震イベントと歴史地震との対応を検討した結果,1586年天正地震,1596年伏見地震などのいくつかの大規模な歴史地震は複数の活動セグメントおよび複数の起震断層の連動により引き起こされた可能性が高いことが判明した.
    また,合計31の活動セグメントの地震危険度を経過時間率と地震発生確率を用いて評価した.その結果,琵琶湖西岸断層饗庭野セグメントと中央構造線和泉-金剛断層根来セグメントは,ほかの活動セグメントよりも地震危険度が高いと判断された.
    このような地震危険度の評価結果と分布箇所の社会的重要性から,今後さらに詳細な調査を行うべき起震断層として,琵琶湖西岸断層,中央構造線四国断層,同和泉-金剛断層,および上町断層があげられる.
  • 岩淵 洋
    2000 年 39 巻 4 号 p. 303-314
    発行日: 2000/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    内湾に潜在する活断層の検出と,基盤の形状を明らかにすることを目的として,大阪湾および伊勢湾において反射法音波探査を実施した.
    大阪湾には,大阪湾断層,津名沖断層のほか,いくつかの活断層が潜在している.活断層が基盤に変位を及ぼしているために,大阪湾の基盤形状は複雑であり,これを埋積する堆積層の厚さは2,700m以上に達する.大阪湾断層の北部で行ったボーリング調査では,断層が千数百年前に活動したことが示唆される.
    伊勢湾には伊勢湾断層,鈴鹿沖断層,白子-野間断層が伏在している.伊勢湾においても,基盤形状は複雑である.堆積層の厚さは1,700m以上ある.伊勢湾断層北部におけるボーリング調査では,断層が更新世後期以降動いていないことが明らかとなった.
  • 松田 時彦
    2000 年 39 巻 4 号 p. 315-318
    発行日: 2000/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    阪神淡路大震災を教訓として,政府は地震災害の軽減に役立てようと,活断層から発生する将来地震の予測を行い,それを逐次公表している.場所・規模・時期の予測のうち,発生時期の予測が「今後数百年以内」という大雑把な限定であるためか,その予測情報が今後の地域防災に十分に生かされようとしているとは言い難い.そこには多少の誤解もある.社会が数百年以内という予測を再び無視するならば,阪神淡路の震災と同様の不意の災害が再び繰り返されるおそれがある.
  • 三田村 宗樹, 竹村 恵二, 北田 奈緒子, 斎藤 礼子
    2000 年 39 巻 4 号 p. 319-330
    発行日: 2000/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    本地域の旧自然海岸沿いで掘削された深層ボーリングの比較から,摩耶埠頭付近より東側では,第四系に挾まれる各海成粘土層の分布深度はほぼ類似しているが,神戸港より西側の長田付近の海成粘土層の分布深度は,全体として浅くなり,和田岬断層・摩耶断層を境に相対的に隆起傾向にあることがわかった.Ma3~Ma6層準の海成層は,低地部の地下に広く分布し,断層で境された基盤山地の近くまで及ぶ.その上位の層準は,山麓部に近づくほど粗粒化し,背後山地の上昇傾向による粗粒砕屑岩物供給量の増加を示唆するとみられる.
    浅層ボーリングの資料をもとにした上部更新統以上の岩相の特徴から,神戸・阪神地域の低地部を,武庫川地区(Ma12・Ma13層が広く分布し,大阪平野の標準的な岩相と類似する),東灘地区・中央地区(基盤山地が存在し,粗粒堆積物が卓越する),長田~和田地区(更新統からなる丘陵地の南に位置し,低地の表層に軟質な粘土・シルト層が広く分布する)の4つに区分した.
  • 中川 康一, 井上 直人
    2000 年 39 巻 4 号 p. 331-340
    発行日: 2000/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    阪神・淡路大震災を生み出した地震の規模はそれほど大きくはなかったにもかかわらず,強震動による破壊は甚だしく,これまで経験した中では最大級の地震であったことが各種構造物被害の実態調査から明らかになった.この地震では,「震災の帯」と呼ばれている神戸・阪神地域の震度7の分布をはじめ,ほかの地域においても特殊な帯状の被害分布がみとめられた.このような被害を発生させた強震動の発生過程を明らかにするため,地震発生後,いろいろな機関によって大阪湾やその周辺部の地質調査が行われ,多くの地下構造情報が蓄積されてきている.これらの地質情報を拘束条件として,三次元重力解析を行い,大阪堆積盆地の深部地質構造を明らかにした.その結果,大阪堆積盆地の基盤構造の特徴として,盆地の縁辺境界が多くの部分で高角の断層となっており,盆地中央部に向かって堆積層の厚さが急増していることがあげられる.盆地内部にも落差の大きな断層とみられる構造が複数存在し,基盤上面が複雑な堆積盆であることが明らかとなった.
    多くの地点で観察された特徴的な帯状の被害分布が,基盤深度の急変帯とよい一致を示すことから,鮮新世以降の断層運動によって形成された盆地縁辺境界部の構造特性が重要な役割を演じていることが明らかとなった.地質体の境界において,地震波は屈折または反射したり,別の種類の波に変換されたりするため,構造急変帯付近ではこれらの地震波が重複し,エネルギーが集中する“フォーカシング”によって強震動が生成されたと考えられる.
  • 佐野 正人
    2000 年 39 巻 4 号 p. 341-347
    発行日: 2000/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震後,最も大きな被害を蒙った神戸・阪神地域では,被災地の地下に伏在している活断層や構造を明らかにする目的で,兵庫県,神戸市,地質調査所などで反射法地震探査,大深度ボーリング調査などが実施された.その結果,神戸・阪神地域の沖積低地の下には,大阪層群を主体とする鮮新-更新統が厚さ数100~1,500mにわたり分布すること,従来から知られる諏訪山断層,五助橋断層など地表に表われている既知の断層から少し離れた市街地地下に活断層が伏在していることなどが明らかになってきた.さらに,これらの活断層がつくりだした基盤の段差構造の様子,伏在活断層が厚い堆積層を通し,地表にはきわめて緩やかな変形として表れていることなども明らかになってきた.特に後者は,伏在活断層を従来の地形調査や地表踏査では認識することがきわめて困難であり,今回実施された反射法地震探査などの地下探査によって初めて明らかにできることを示唆する.
    反射法地震探査,大深度ボーリング調査を中心とした調査により,神戸・阪神地域の活断層の全貌が把握できたことのみならず,さまざまな地震による震度分布や強震動予測をする上で必要な地下構造の情報が得られた点が画期的といえよう.
  • 増田 富士雄, 宮原 伐折羅
    2000 年 39 巻 4 号 p. 349-355
    発行日: 2000/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    大阪湾とその周辺には,海成や陸成堆積物からなる完新統が発達する.この地域の完新統の特徴は,海成粘土層に粗粒な部分(粗粒シルト~中粒砂)が間に挾まっていることである.それは後氷期の海進で,海面が高くなった時期に潮流や沿岸流による運搬作用が強くなって形成されたものである.
  • 横田 裕
    2000 年 39 巻 4 号 p. 357-361
    発行日: 2000/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    反射法地震探査が,断層あるいは変動帯を対象とする広域の地質学的調査法として認められるようになったのは,わが国では震災前の約10年間のことである.
    震災後に,「活断層調査」あるいは「都市の深部地下構造調査」などで,数多くの反射法地震探査が実施されることになった.これは,地下深部構造の把握が地震動の予測・評価の上で重要であることが,震災により認識されたためである.
    この探査の果たした役割は,「活断層調査」では堆積平野下の活構造の位置・形態・活動性の把握であり,また「都市の地下構造調査」では堆積層と基盤岩の深度・形状および物性値の把握などであった.本稿では,これらの調査結果の例を紹介する.
    今後の課題はいくつかあるが,とりあえず重要なことは震災後に取得された観測記録の公開と保存である.これらは当初の目的とは別に,今後のさまざまな課題でも利用できる貴重なデータである.これらが公開されて多くの機関で共有されることが,これらのデータを保存し,また生かす方法であると思われる.
  • 陶野 郁雄
    2000 年 39 巻 4 号 p. 363-374
    発行日: 2000/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    地震時の液状化現象を推定する方法として,液状化簡易判定法がすでにいくつか提案されている.これらの簡易判定法は,いずれも標準貫入試験によるN値に基づく地盤の液状化強度の推定が根拠となっている.このような液状化判定法は,常にボーリング調査結果が必要となる.特に,県や市町村単位の広域な液状化危険度を推定するには,全面的に多量のボーリング調査を実施することが必要となる.
    そこで,筆者らは標準貫入試験結果を必要としない砂層の地形・地質条件に基づいた液状化簡易判定法を1986年に提案した.この方法は,地盤の地質年代と堆積環境および地下水位が必要となる.この手法を用いて,1983年日本海中部地震で液状化災害が顕著に発生した能代市市街地を対象として推定加速度図などを作成した.これによると,噴砂が数多く認められた地域は,推定加速度200gal以下の完新統新期河成砂層や,推定加速度250gal以下の完新統新期砂丘砂層と砂丘間低地が分布しているところである.しかも,液状化安全率が1以上(F1>1)の液状化しないと推定されたところには,噴砂地点が1つもない.このように,提案した手法に基づく液状化予測は,1983年日本海中部地震の際の能代市における調査結果と非常によく一致しており,手法の有効性を示している.
  • 碓井 照子
    2000 年 39 巻 4 号 p. 375-388
    発行日: 2000/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    阪神・淡路大震災における「震災の帯」に関する成因には,(1)焦点効果,(2)エッジ効果,(3)指向性(Directivity)効果などがある.指向性効果とは,深層における横ずれ断層の破壊伝播により,横ずれ断層直上の狭い領域に断層に直交する地震動が生成され,それが堆積盆地端部の深層地盤構造によって増幅されて地震被害地域が出現するということである.西宮市における建物被害率と地下埋設管被害率におけるこの指向性効果をGIS (Geographical Information Systems,地理情報システム)のバッファリング(Buffering)分析を利用して明らかにした.その結果,活断層から2km程度の狭い地域に高率被害が顕著にみられた.
  • 石川 浩次, 細矢 卓志, 緒方 信一, 馮 少孔
    2000 年 39 巻 4 号 p. 389-400
    発行日: 2000/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    1995年兵庫県南部地震において六甲南山麓平地に生じた震度7(JMA)のいわゆる“震災の帯”を詳細にみると,帯の中でも家屋の倒壊のみられない震度5(JMA)から,倒壊率30%以上(震度7)に至るまでの被害差が町丁目単位ごとに複雑に変化していることがわかる.本論文は,この帯の中で生じた建築物の被害差の原因について,地形・表層地質および地盤特性が及ぼす影響について検討した.その結果,“震災の帯”の中の建築物の被害差は,工学的基盤面(N>50)から扇状地性の粗粒堆積物からなる表層地盤(N=15~40程度)に入射した地震波が,地盤の卓越周期特性ならびにインピーダンス特性に依存して,表層の中で増幅度の違いを生じたことが主原因と考察された.また,地震時に建築物と表層地盤との間に共振現象が生じた可能性が考えられた.さらに,強震動域における木造,RC造の建築物別倒壊率と地震時の最大加速度との関係を明らかにした.
  • 中田 高, 鈴木 康弘
    2000 年 39 巻 4 号 p. 401-405
    発行日: 2000/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    活断層の情報として,最も基本的な情報である地表分布形態のうち,断層の分岐形態,横ずれ断層の縦ずれ変位分布パターン,断層線に沿った変位の累積過程は,断層の破壊過程に密接に関連し,地震動予測のために不可欠な情報源となることを予測する.また,これまで地震発生前には不可能であった破壊開始点や破壊伝播方向の予測やセグメント区分および活断層の発生に関して,新たな視点を提示する.
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